決断 ページ11
それからしばらくの間、あらゆる手を尽くして志保利を助けようと試みたが、どれも上手くいくことはなかった。
そして、決断の日が来る。
蔵馬の部屋にかりんと蔵馬の二人でいると、突如窓に人影が現れた。
その人影が話し出す。
「蔵馬、話がある」
『……！(飛影…)』
「飛影、１年ぶりですね。」
『……知り合い？』
「あぁ、昔ちょっとね」
「そんなことはどうでもいい。蔵馬、霊界の宝を盗みに行かないか。」
『！』｢え？｣
｢霊界の三大秘宝だ。お前も知ってるだろう？｣
｢あぁ｣
とうとう来てしまった。魔の誘いが。
｢行くか？｣
蔵馬の返事は決まっている。
｢行こう｣
緋花莉は俯き、歯を食いしばることしか出来なかった。
その時、飛影から声をかけられる。
｢そこの女。お前も盗みに行くか？｣
『女じゃないわ、かりんよ。………そうね。私も盗みには同行するわ。けれどあなた達とは別のものを盗むから。もう一人誰か誘ってちょうだい。』
｢フン……。いいだろう｣
そう言うと、飛影は去って行った。
その場にはかりんと蔵馬が残される。
一時の沈黙。
その沈黙を破ったのは蔵馬だった。
｢いいんですか？｣
『え？』
｢暗黒鏡を使えば『言わないで』……。｣
『あなたが決めたことでしょう？それなら私はあなたに従うしかないわ。それに、私もあなたの立場だったら同じことするし。』
｢……。｣
『…自分で決めたんなら最後まで貫きなさいよ。』
｢かりん、ありがとう。｣
そしてその日はそのまま別れた。
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作者名：唯那 | 作成日時：2017年6月20日 20時
