こわーい話、はじまるよぉ【実話】

み ページ1

私がはじめて“人のようで人でないもの”に

遭遇したのは5歳のときだった


母親とある大型ショッピングモールに

買い物に行ったときだった


あのときのことは

8年たった今でもはっきり、

鮮明に覚えている。


母が帽子を買いたいと、私と帽子屋へ入った

私はいつまでたっても母が帽子を決めないので

退屈になり、帽子屋をウロチョロしていた。


どれくらいたっただろうか

母の声がした。


「行くよ。」


私は、やっとかと思い

母の手を取り帽子屋をでた。


母の手は、冷たかった。


いつもは温かい母の手。

私は不思議に思い、母の顔を見上げる


その顔は、目も、鼻も、なにもない

世に言う、




“のっぺらぼう”だった。




でも、その時はなぜか

母だと、思った。


違和感もなく。当たり前のように。



“母”と、手を繋いでいた。



そのあと、“母”は


「ちょっと待ってて。」

と言い、

靴屋へ入って行った。


母が手を離し、離れた瞬間。

孤独感に襲われた。


もともと親が居なければ

すぐパニックになる私。


いつの間にか、とおりすがりの

おばちゃんに連れられ、店に入り


[ 迷子のお知らせです........]


放送で、私は“迷子”として、

呼び出しされていた。


5分もしないうち

母がやってきた。


私の知っている母だ。


のちのち母にその時のことを聞いてみると、


母は帽子屋を一歩も



出ていないという。


あれは一体なんだったのか。

あれはどこに行ったのか。

私も、わからない。

て→

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