16. ページ18
鶴崎さんside
かたん、という音で目が覚めた。
こんな小さな音で起きるなんて、慣れない場所、しかも床で寝ていたことをあってか眠りが浅かったのかな。
枕元に手を伸ばしてごそごそと動かせば、すぐ指先に硬いものが当たる。
眼鏡をかけて眩しいスマホを睨み付けると、時刻は午前１時過ぎだった。もちろんこれよりも遅く寝ることなんてザラにあるけれど、深夜は深夜。
暗闇の中音がした方に目を向けると、キッチンに佇むAとがっちり目があった。
『ごめん、起こしちゃった？』
寝ている水上を起こさないように囁かれたソプラノが擽ったい。
鶴「何してんの」
首を傾げて尋ねるといたずらに笑ったAが手招きして、それに素直に従い暖かい毛布から這い出る。
みて、とAが示したその先には、袋に入ったインスタントラーメンが堂々とステンレスの上に寝そべっていた。
全く、この子の不摂生は昔から変わらない。
『さっきまでレポート書いてて、お腹空いちゃったからさ』
鶴「また体に悪いものを」
『そんなこと言って、ほんとは食べたいんじゃないの？』
鶴「.....食べたい」
いやほら、夜中のラーメンってさ、何よりも美味しいじゃん？それも推しみたいな妹みたいな子と食べれるなんて尚更。
やっぱりねと歯を見せて笑ったAが、コンロの下の棚からもう１つ袋を引っ張り出した。
鶴「え、塩？俺しょうゆがいい」
『私がルールブックだ』
二出川延明かよ、なんてクイズプレイヤーにしか通じないツッコミも理解して笑う彼女は本当に勉強熱心だと常々思う。そんな努力は決して人に見せないけれど。
ティファールの残ったお湯を鍋の中に移して、コンロに点火。暗闇の中で青が妖しく燃える。
『ひさ』
鶴「んー？」
『ひさはさ、将来どうするつもりなの？』
鶴「え〜、そりゃ数学に関わる仕事がいいよねぇ」
『ほんと修功の思考回路が理解できない』
鶴「俺の解説聞いたから東大入れたんでしょ。理解できてるって」
元々慶応の法学部に進もうとしていたAは、高校受験を最後に数学とキッパリ関わることをやめようとしていた。
でも高２に上がる時に、クラス分けアンケートのようなものに間違えて国立大進学クラスに◯をつけてしまったらしい。
そして行くなら東大がいいと考えた彼女は、数学に行き詰まる度に俺にテレビ通話をかけていたのである。
鶴「なんか、Aってマヌケだよね」
『え、今ディスるとこあった？』
**
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木菟(プロフ) - 千紘さん» わ、ありがとうございます！もちろんです(*´-`)上手く書ける自信はありませんが、楽しんでいただけると幸いです！ (2020年5月17日 0時) (
レス) id: 8ed11adb4a (このIDを非表示/違反報告)
千紘 - もちろんです。朝からそれ正解とても面白かったです。機会があればまた田村さんとの絡みお願いします．これからも応援してます。頑張ってください。 (2020年5月15日 6時) (レス) id: 57238377df (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - 千紘さん» コメントありがとうございます！あんまり口調が似ないかも知れませんが、それでもよろしいですか.....?? (2020年5月9日 15時) (レス) id: 8ed11adb4a (このIDを非表示/違反報告)
千紘 - アイツが彼女だったらシリーズで田村さん書けますか。 (2020年5月8日 9時) (レス) id: 57238377df (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - みーさん» みー様ありがとうございます！お顔は良い子なので...笑qkの皆様のちゃんと男子大学生な所も書けたらなと思っております。了解です！こうちゃんさんをたくさん照れさせたいと思います(*´-`) (2020年4月23日 10時) (レス) id: 8ed11adb4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木菟 | 作成日時：2020年4月4日 22時
