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Aさんside
最近ぱったりオキタクンを見なくなったな。
タバコの品出しの手を止めてはた、と考える。
あの銀さんのなぞの提案で行われたお見合いは、結局大してオキタクンと話すこともなく幕を閉じてしまった。
お手洗いから帰る途中で神楽とオキタクンと遭遇したけれど、もしや神楽は私が家族を殺したことを喋っちゃったのだろうか。いや別に口止めしてたわけじゃないからいいんだけども。
…だからだろうか、オキタクンが私を観察しなくなったのは。
もしも銀さんが言うようにオキタクンが私のことを好いていてくれたとして、神楽から親殺しの話を聞いたから冷めてしまったなら。
彼にうつる私は、血なんて似合わない綺麗な人に見えていたのかもしれない。
もしそうなら、ちょっと嬉しい。
「Aさん、品出し終わった?」
店長の言葉にハッとして、「すみません、もうちょっとです!」と慌てて返事をする。
お客さんがいなくて忙しくないからか、優しい了承が返ってきた。忙しかったら雷が落ちてたとこだった。
手を動かしながらも、頭はさっきまで考えてたことに引き摺られる。
お見合いで食べるもの全てにマヨネーズをかけていた男前は、確かタバコを吸っていた。
それでも私がその人をこのコンビニで見たことないのは、真選組の屯所がこの近くにないからなのかな。
まぁコンビニなんてそこらへんにあるし、最寄りじゃないだけかもしれないけど。
最後のタバコを棚に押し込み、空の段ボールを折り畳んでいるとお客さんの来店を知らせる音楽が高らかに鳴る。
「いらっしゃいませ…あれ、」
「よう。働いてっか、社畜め」
「少なくともあなたよりはね、銀さん」
相変わらず死んだ目をしている家主が「あちーな」と手をパタパタさせながら店内に入ってきた。
「何、またイチゴ牛乳?」
「まぁな。思わぬ臨時収入が入ったもんで」
「それを神楽と新八に使おうとしないあたり尊敬するわ」
「せいぜい泣いて崇めるんだな」
「よォし、そこに直れ」
クズなことしか言わないもじゃ毛に向かって番傘を構えれば、「店内で武装してんじゃねーよ」とのツッコミが。いやツッコむとこそこなんだ。
「オメーは家ん中でも傘手放さねェしよ。家の中でくらいリラックスしてもいいんじゃねーの?」
「銀さんと神楽がリラックスしすぎなんじゃない?」
「俺らが普通なんですゥ。…自分以外もちったぁ信用してみろよ」
「…かんがえとく」
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木菟(プロフ) - はっぱさん» はっぱ様ご愛読ありがとうございました!続きの方は続編で更新しておりますのでお時間ありましたらご覧いただけると幸いです! (2021年9月16日 11時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですw更新大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2021年9月14日 21時) (レス) id: c56a6257a1 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - Runaさん» コメントありがとうございます!いえいえ、勿体ないお言葉です…拙い文章ですがご愛読いただけると幸いでございます!がんばります! (2021年8月23日 20時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
Runa(プロフ) - なんですかこの神展開、、ありがとうございます応援してます!!更新がんばってくださいッ! (2021年8月21日 15時) (レス) id: f22b766baa (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます!芋侍感や認識のすれ違い感を全面に押し出していきたいと考えております。ご期待に添えるよう頑張ります! (2021年8月18日 13時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木菟 | 作成日時:2021年8月11日 11時