HONEY・PIE

Marry Me ページ41

3のネタバレ注意
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ニューヨークの小道に、カツカツとハイヒールの音が響く。
その音を生み出すグリーンのドレスを着た女が、唯一明かりをつけた店に飛び込むなり友人の名前を叫んだ。


『クイニー！』

「A！」


呼ばれた美しいウェディングドレスを纏った友人は、その顔に綻ぶような笑顔を浮かべて客を出迎える。


『遅くなってごめんなさい、クイニー』

「来てくれただけで嬉しいわ！それにまだ始まってないもの」

『良かったわ。イギリスから急いで飛んできたのよ』


イギリスで闇祓いをしている彼女は、常に忙しかった。しかし大親友の結婚式ともなれば行かない理由がない。己のスキルをフル活用し、更には自らのボスまでもこき使いなんとか仕事を終わらせてきたのである。



『すごく、すごく綺麗だわ…天使みたい』

「ふふ、ありがとう。ハニーも同じことを言ってたわ」

『ほんとに綺麗……あぁ、綺麗しか言葉が出てこないわ！』


泣きそうに笑ったAは、化粧でドレスを汚さないよう細心の注意を払いながらクイニーを抱きしめた。


マグルと魔女が結婚する記念すべき日。


テセウスやユーラリー達と共に奮闘してきたAは、人一倍その喜びを噛み締め、名残惜しそうに花嫁から離れる。


『ところで、貴方のハニーは？』

「ウーン、奥でお仕事してるわ」

『あら、主役なのに。私が代われそうな仕事かしら？』

「いいのよ！貴女はゲストだし、ハニーは緊張を紛らわせるためにやっているだけだから」


それより、ほら。


クイニーの細長い指が、店内の奥の隅っこをそっと指差す。
その先には、何やら白い紙を見つめてぶつぶつと呟いているAのハニーの姿があった。


少し戸惑ったようにクイニーを見るが、彼女はにっこりと笑うだけ。
そんなクイニーに苦笑いを返したAは、ドレスの裾を翻しながらブロンズの彼に近付いた。


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