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しあわせを咬む ページ39

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『ママぁ…』

「はいはい、ママだよ」


今日はどうしたの、とママが己に抱きつく私の頭を優しく撫でてくれる。
彼のかいている胡座にすっぽり収まるように、ぎゅうぎゅうと正面から抱きついている私は邪魔でしかないだろうに、彼はいつも優しく受け入れてくれていた。


私は彼の娘じゃないし、ましてや彼は私のママじゃない。


私は真っ白な肌と髪(というか体毛)の、いわゆるアルビノというやつで、挙句に右目はスミレ色、左目は赤みがかったピンクのオッドアイである。


そんなつまらない小説の主人公みたいに設定を詰め込まれても、現実では太陽に弱いし、人攫いに狙われて困るし、実際ママと出会ったのはヒューマンオークションにて今にも出品されそうなときだった。
わたし、目ん玉飛び出るくらい高額だったのよ、と今では自慢話だけど。


もちろん初めは警戒心剥き出しだったのだが、でも、こう、ママの母性にコロッとやられてしまったのだ。クリーンヒット。死球。ノックアウト。


ママと、柔軟剤と、薬草と、動物の匂いが混ざった不思議な香りを嗅ぎながら、ぽつぽつと愚痴をこぼす。



『あのお馬鹿オカミー…お気に入りのワンピースに噛みつきやがって…』

「こーら、お口が悪いぞ」

『だって……』


嫌なことについて喋ってるときに口が悪くならない人なんていないと思う。でも彼の言うことは事実だ。下品だったかもしれない、とちょっぴり居心地が悪くなって、鼻先をママのシャツに押し付ける。


そんな子供みたいな、というか子供の私の頭に、彼の優しい笑い声が降ってきた。


「仕方ないなぁ。何か飲むかい?」

『…アッサム。ミルクいっぱいのやつ』

「すきだね、それ」

『だいすき。ママみたいに優しくて、あまくて、あったかいの』



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木菟(プロフ) - まいまいさん» ほんとですか…!!ほっとしました…もしよろしければ続編の方もご愛読下さると嬉しいです!ありがとうございました! (2022年5月19日 22時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - ありがとうございます!すごく素敵で良かったですˊᵕˋ♡ (2022年5月15日 15時) (レス) id: 2c18e857c2 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - kikuchi51さん» kikuchi51様、コメント、ご愛読ありがとうございます!!勿体無いお言葉です…ありがとうございます……!!!アンケートを作成しましたので、是非ご投票お願い致します! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - まいまいさん» お待たせしましたー!ぐだぐだした終わり方で申し訳ない……リクエストありがとうございました! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございますー!ぐだぐだしたプロポーズが彼らしいかななんて……原作ではどうティナちゃんとくっつくのか楽しみです! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木菟 | 作成日時:2022年4月23日 20時

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