ページ ページ38
**
『…待って。もう一回いい？』
「だから、君可愛すぎると思うんだ」
『………うん？』
聞き直したけどどうにも上手く咀嚼できない。
あんなに深刻そうな顔して可愛すぎるって？しかも動物がじゃなくて私が？？
大真面目に可笑しなことを考えてる面白さと、照れと嬉しさから顔が熱くなるけど、取り敢えず小首を傾げる。
『…それは、なんていうか…ありがとう？』
「苦情だから、お礼言われても困るよ」
『えぇ…？』
何を言ってるんだこの動物学者様は。
杖で空になったティーカップを片付けた彼は、まるで小さい子を叱りつけるママのような顔をした。
近づいたニュートの顔に、思わず背中を逸らして距離をとる。
「いちいち可愛いの、わざとだろ？」
『むしろ可愛いことしてなくて申し訳ないと思ってるけど』
「寝言は寝ていうものなんだよ」
『君って結構辛辣よね』
普段そんなに可愛い可愛い言わないくせに、ごく稀に言いまくる日があるの何なんだろう。照れるし心臓に悪いからやめてほしい。
長い付き合いではあるけど、ほんとに稀なので全く慣れない。
『…ちなみに、例えば？』
「じゃあ朝から言ってくね。まず、」
『ちょっと待って。何個ぐらいある？』
「朝から夜までびっしり」
『そんなに褒めてくれるの？』
「褒めてるんじゃなくて事実を言ってるだけだよ」
『…うーん、』
不満の爆発、みたいなことなんだろうか。
もしストレスが溜まってるなら、私も何かしら努力しなくちゃ。
『私が可愛くない方が助かるってことね？』
「…そうは言ってないけど」
『えぇ？じゃあ私はどうしたらいいの？』
「もうちょっと、こう、抑えてよ。不整脈で死にそうだ」
『そんなの私もだわ！なら、ニュートも抑えてくれる？』
「抑えるものがないだろ？」
『私もさっきから同じような事言ってるんだけど』
君はあるの、なんて押し問答にしかならなさそうなことを言うニュート。大体、本人は褒めてないなんて言うけど私からしたらとんだ殺し文句だ。この天然タラシめ。
それに、何が悲しくてちょっと怒られなきゃいけないんだ。
『……そもそも、ニュートは私が可愛く見えて困ることがあるの？』
「周りの人が君のこと好きになっちゃうかもしれないでしょ？」
『…え、私がニュートのことしか好きじゃないんだから関係なくない？』
「…………そういうとこだよ、ほんと」
『なにがよ』
「無自覚なのって1番タチ悪い…」
『私の台詞だわ！』
**
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木菟(プロフ) - まいまいさん» ほんとですか…!!ほっとしました…もしよろしければ続編の方もご愛読下さると嬉しいです！ありがとうございました！ (2022年5月19日 22時) (
レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - ありがとうございます！すごく素敵で良かったですˊᵕˋ♡ (2022年5月15日 15時) (レス) id: 2c18e857c2 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - kikuchi51さん» kikuchi51様、コメント、ご愛読ありがとうございます！！勿体無いお言葉です…ありがとうございます……!!!アンケートを作成しましたので、是非ご投票お願い致します！ (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - まいまいさん» お待たせしましたー！ぐだぐだした終わり方で申し訳ない……リクエストありがとうございました！ (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございますー！ぐだぐだしたプロポーズが彼らしいかななんて……原作ではどうティナちゃんとくっつくのか楽しみです！ (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木菟 | 作成日時：2022年4月23日 20時
