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結局何とかニュートを丸め込んで、一緒に魔法省に行くことになった。彼はいつものブルーグレーのコート、私は膝上丈のタイトスカート。
さぁ姿くらましをしよう、としたところで、顎に指を当てて見せたニュートがまじまじと私の足元を見て一言。
「…ちょっとスカート短いんじゃない?」
『これくらいが今流行りなの』
「で、でも膝が見えてるし」
『お兄ちゃん、私もう22なのよ』
それでもなお何か言いたげな兄をキッと睨むと、優しくちょっと弱気な彼は、小さな声で「ごめん」と溢した。あんまり深刻そうに謝るものだから、思わす笑いながら謝罪を受け入れる。
『さ、もう行きましょう。テセウスが待ってるわ』
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「A、スカート短くないか?」
『アンタもか』
「せめてタイツを履きなさい」
『ストッキング履いてるからいいでしょ…』
顔を合わせた途端これだ。
視界の端でほらみろ、と言わんばかりにニュートが頷いているのが見える。このやろう、さっき長兄様の力を借りようとしてわざと早めに折れたな。
それならこっちだって考えがある。
「大体魔法省にくるのにその格好は、」
『だって、』
「ん?」
『だって、久しぶりにお兄ちゃんたちとご飯食べれるからお洒落したかったんだもん…』
ぐす、と鼻を啜ってみせる。
「ご、ごめん、ママが、あ、違った、お兄ちゃんが悪かったよ」
「そ、そうだ、ランチのあと好きな服でも買ってやろう。な?だから泣かないでくれ」
『…ほんとに?』
「ほんとだよ、…ぁ、こら、」
いつものくたびれたトランクがガタガタと音を立てた。
ニュート兄さんは慌てたように「ちょ、ちょっと待ってて」と道の端に寄る。ほんの少しトランクを開いて、中に呼びかけているようだった。時々黒い手がニョキッっと出てくるのを押し込めている。
泣き真似をやめて、大変そうな口ぶりだけど楽しそうな彼を目で追いながら、隣で私と同じようにニュートを見ているテセウスに声をかけた。
『ねぇ、兄さん』
「ん?」
『書類わざと忘れていったでしょ』
「バレたか」
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写真家と学者のはなし→←MY SWEET SIBLINGS!!!
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木菟(プロフ) - まいまいさん» ほんとですか…!!ほっとしました…もしよろしければ続編の方もご愛読下さると嬉しいです!ありがとうございました! (2022年5月19日 22時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - ありがとうございます!すごく素敵で良かったですˊᵕˋ♡ (2022年5月15日 15時) (レス) id: 2c18e857c2 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - kikuchi51さん» kikuchi51様、コメント、ご愛読ありがとうございます!!勿体無いお言葉です…ありがとうございます……!!!アンケートを作成しましたので、是非ご投票お願い致します! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - まいまいさん» お待たせしましたー!ぐだぐだした終わり方で申し訳ない……リクエストありがとうございました! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございますー!ぐだぐだしたプロポーズが彼らしいかななんて……原作ではどうティナちゃんとくっつくのか楽しみです! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木菟 | 作成日時:2022年4月23日 20時