あたまからつまさきまで ページ17
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『ほぉらパパが来たわよー!』
「なんで君がパパ?」
『あなたがママだからよ』
ねぇベイビーたち。そう笑って後ろのカゴの中で微睡む数匹のニフラーを振り返れば、彼らは途端に目を覚まし私に飛びかかってくる。
ぐいぐいと首にかかる銀のネックレスを小さな手が引っ張るけれど、保護魔法を何重にもかけているから千切れたりなんかしない。
するとニフラーたちと戯れる私の後ろにしばらく突っ立っていたニュートが、遠慮がちに私の肩に手を置いた。
「……は、ハグしても?」
『いいわよ』
すぐに許可を出せばするすると彼の長い腕が私のお腹にまわる。首元にニュートのふわふわな髪の毛が当たってくすぐったい。
戯れる時間はおしまいだとニフラーたちを1匹ずつ剥がしてカゴの中に戻す間も、ニュートはぴったりとくっついて離れない。つまりは膝を曲げる私に合わせて彼も膝を曲げているということ。シュールだ。
『ねぇニュート』
ニフラーを剥がし終わった私は、未だ自らのお腹に回っている傷だらけの手に自分の手を重ねて、ゆっくり部屋へ向かって歩く。
ニュートは私の足を踏まないように、横に自分の足を大きく開いて付いてきていた。
大きなデミガイズを背負ってるようだと思いながら、前々から感じていた疑問を投げる。
『どうしてハグするときとかキスするとき、私に許可を求めるの?』
彼の息が一瞬詰まったのを感じた。…タブーだったかしら。
しばらくの間沈黙が続くけど、それは決して気まずいものではなかった。
「…君は、」
小屋の前でようやくニュートが口を開く。
「君は、君のものだろ?」
それが彼の答えだった。
やんわりとニュートの腕を解いて、なんだか不安そうに視線を彷徨わせる彼と向き合う。
顔は斜め横を向かせたまま、ゆっくり私を捕らえた視線が愛おしくて彼のそばかすの散った頬に指を滑らせた。
『あなたらしいわ』
「…ダメだった?」
『いいえ。…でも、ちょっと残念ね。私、あなたには全部あげたつもりでいたんだけど』
え、と声をもらすニュートが私の言葉を理解する前に、彼の白シャツの襟をぐいっと引っ張る。
慌てる隙さえ与えない。
半開きの彼の唇に噛み付く前に、そっと囁いてやった。
『私はあなたのものでもあるのよ』
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木菟(プロフ) - まいまいさん» ほんとですか…!!ほっとしました…もしよろしければ続編の方もご愛読下さると嬉しいです!ありがとうございました! (2022年5月19日 22時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい(プロフ) - ありがとうございます!すごく素敵で良かったですˊᵕˋ♡ (2022年5月15日 15時) (レス) id: 2c18e857c2 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - kikuchi51さん» kikuchi51様、コメント、ご愛読ありがとうございます!!勿体無いお言葉です…ありがとうございます……!!!アンケートを作成しましたので、是非ご投票お願い致します! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - まいまいさん» お待たせしましたー!ぐだぐだした終わり方で申し訳ない……リクエストありがとうございました! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございますー!ぐだぐだしたプロポーズが彼らしいかななんて……原作ではどうティナちゃんとくっつくのか楽しみです! (2022年5月15日 14時) (レス) id: 2546c4f173 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木菟 | 作成日時:2022年4月23日 20時