花の名前９２ ページ44
それに加え
最近、波野がお父さんに私が逃げたと伝えたらしく
《月夜を波野さんの息子に返してこい！》
鈴弥「返せって…あいつは物じゃないんだぞ！？
それに親父だってわかってるんだろ、波野魁がどういう人間か！」
《それがどうした
早く波野さんのところに返さなければ…私の会社がどうなってもいいのか！？》
鈴弥「ああいいさ、もう俺たちには関係ないし真白も返さないからな！」
《お前…それでも俺の息子か！？》
鈴弥「さあどうだかな！俺はあんたに育てられた記憶はねえよ
これで終わりだ、じゃあな！」
お父さんが最近、私を波野のところに返すように鈴弥に電話をかけているようだった
私はだんだん生きている意味がわからなくなった
学校の屋上には私よりもはるかに大きいフェンスがある
だが、
波野邸から抜け出してからパルクールにハマった私には、上るのなんて朝飯前だ
そんなことでフェンスを越えると
綺麗な夕焼けが見えた
これが私の最期の光景になるのかと思い
私はその景色を目に焼き付けた
そして、カウントダウン
もう、この世界に未練などない
３…２…１…
真白「０」
それと同時に屋上から身をなげた
ふわりとした感覚に目を瞑る
すると、下から声がする
花音「天馬！私が落ちそうになったらどこ触っても良いからおさえて！！」
そう聞こえた途端、何かに支えられるような感覚が背中にあった
花音「よかった〜ナイスキャッチ私！」
天馬「お前が言った通り落ちてくるとはな…」
え？私…生きてるの…？
真白「？…？？」
花音「月見さん、大丈夫？」
真白「？…はい…」
花音「よかった〜」
その後、夕方だったこともあり
私は陽加さんちの車で家に送ってもらった
真白「ありがとうございました」
花音「うん、じゃあね月見さん」
それからは、命の恩人であるため嫌いとも言えず
隣の席同士話す事が多くなった
そんなこんなで小学校も終盤、私と花音は6年生になった
花音「真白ちゃんは中学ここら辺のでしょ？」
真白「あぁ、私花学受験しようかなって思って」
花音「え！？じゃあ違うところかぁ
花学ってすごい頭いいところだよね、私行けないじゃん」
真白「あんたは天馬がいるからいいじゃん」
花音「まぁそうではあるけど…
真白ちゃんとも一緒がいいの！」
真白「はいはい」
私は先日、鈴弥に進められた花学に入ろうと思った
なんだか、そっちのほうが楽そうだし
そうして月日は経ち、私は花学の受験に合格した
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作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
