花の名前５３ ページ5
真白side
痛い！
もうやめて…くださ…！
もう絶対に
お願いします…！なんでもするからッ！！だから…許して…
真白「ﾋｭ…ッ」
夢…？
お兄ちゃん起こさなきゃ
私は荒くなった呼吸を整えて「お兄ちゃん」と声を出そうとした
真白「…！？」
だが口から出たのは掠れた息だけだった
声が全然でない…
とりあえず起こさなきゃ
と思い、揺さぶってみる
至「んー？どした？そんなに慌てて」
私はメモ帳に＜声が出ない＞と書く
至「…マ？」
＜マ＞
至「マジか、とりあえず監督さんたちに伝えようか」
私はコクリと頷く
いづみ「本当なの！？至さんのドッキリじゃないですよね」
至「辛辣でワロ」
真白「ぁ…」
私は微かに出る声を漏らす
万里が起きてきた様だ
とりあえずお兄ちゃんの背中に隠れてよ
万里「はよー」
いづみ「あ、万里くん」
万里「ん、なんで真白隠れてんの」
至「それはご本人から」
そういってお兄ちゃんは私から離れる
ちょっ！
万里「なんか妙にあたふたしてっけど、どした」
私は急いで文字を書いて万里に見せる
＜声が出ないの＞
万里「ドッキリか？」
私はそれに対して首を振る
万里「マジかよ…」
万里はそういい、目元を伏せる
至「万里は真白の声大好きだもんな」
一成「セッツァー、とりま早く支度して行かないと！」
万里「おう、んじゃ、安静にな」
大きな手で私の頬を撫でる
至「真白のむすっとした顔かわよｗ」
その日の夜、私はまた夢を見ている
ねぇ
目を開けて
私はされるがままに目を開いた
目に映る先にいたのは
手や足に縛ってある糸を垂らした幼い頃の私だった
真白｢何か用？｣
声は出る、やっぱり夢なんだな
なんであの時、逃げたの?
真白「私はもう…あの人の
まぁいい、どうせ帰ってくるから、こっちに…
真白｢私は帰らない、絶対に｣
きっと帰ってくる
幼い私の声にあわせて、周りから糸が伸びてくる
真白｢私とあの人の婚約は破談になったはず…｣
関係ない
糸はどんどん私の体を縛り付けていく
真白｢だ…＿っ！？｣
足掻いたって無意味
声が出ない…！？
だって
君は僕に逆らえない
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作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
