花の名前８７ ページ39
万里side
ーAM5：00ー
ん…朝か…？
頭痛で目が覚めて、目を開けると
自分の腕の中に美香がいた
万里「マジか…」
安心しきった顔で寝てやがる…
万里「おい、美香」
美香「ん…あ、やば」
美香は状況を把握したのか腕の中から出ようとするが、俺はそのまま美香を抱きしめて言う
万里「美香。俺、やっぱり美香が好きだ」
美香「…その返しは昨日言ったじゃん」
万里「美香が愛してるのは記憶を無くす前の俺だろ、わかってる
だから、保証はできねえけど待っててほしい、俺の記憶が戻るまで。その時、また告るから」
美香「…戻らなかったら？」
万里「その時は美香の判断に委ねる」
美香「…なんでそんなに私に執着すんの」
万里「お前が好きだから。
お前の面倒くさがりなとこも、表と裏の違いが激しいとこも、正直じゃないとこも
全部好きだから」
美香「……ぷっ、ははっ！」
美香は俺の告白を聞いて一瞬驚くような顔をして吹き出した
万里「なっ、人が真剣に告白してんのに…」
美香「はははっ！だって、初めて告白されたときとおんなじこと言ってるから」
美香は笑いながらも、少し悲しそうな顔を見せた
万里「…そん時の俺はどんなだった」
美香「…私が父親の言うことに従って、皆に知らせずにフランスに行こうとしたときに
皆が迎えに来てくれて、父親が無理矢理私を連れて行こうとしたときに万里が止めてくれた」
まじか、俺優秀だな
美香「で、万里がみんなの前でいきなりキスしてきて告白してきた
その時に言ったのがさっきの言葉ってわけ
でもまさか一緒の事言うとは思ってなかったわ、はははっ！」
美香はまた笑って言う
そこまで笑われると必然的に恥ずかしくなってくる
万里「笑いすぎだろ…！」
美香「今思えば素直でかわいいよね、くふふっ
相当私が好きじゃないと出ないでしょ、あの台詞」
万里「あんときは必死だったんだよ！さっきのもだけど…、前のお前も怖がりで結果知る前に逃げっから………あ？」
俺…今なんて…
美香「……？」
万里「思い…出した…」
ああ、そうだ、俺の愛しい人の名前はこれじゃない
万里「ましろ…」
俺は彼女のマゼンタを見つめてつぶやく
真白「……っ」
その名前を呼んだ時、マゼンタが涙で揺らいだ
万里「…ましろ…真白…！真白！」
もう忘れないように何回もその名前を呼んで、真白を力いっぱい抱きしめる
真白「聞こえてるってば」
万里「真白…愛してる…」
真白「…私も…ばんり、愛してる」
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作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
