花の名前８１ ページ33
献立はいつもと変わらずカレーだったが
なぜかいづみちゃんの作るカレーはいつでもおいしくて飽きない
スプーンでカレーをすくい口に運ぶ
それを繰り返していると、私よりも早めに食べ終わった万里が食器を運ぼうと席を立つ
万里「美香」
真白「…ん？」
違う名前を呼ぶ万里
万里「この後お前の部屋行ってもいいか？」
真白「うん、ゲームしよ」
返事をして万里は談話室を出ていく
談話室には少しの沈黙が流れる
いづみ「真白ちゃん、無理してない？」
真白「…大丈夫、私自身が決めたことだし」
＿103号室＿
スマホの画面にloseと表示された
万里「っしゃっ！」
真白「くそ負けた」
万里「……なぁ、ちょっと話していいか」
真白「ん？」
万里「俺、ちょっとずつ今の事思い出してきてんだよ」
真白「…ふーん、よかったじゃん」
万里「…なぁ美香、俺たち付き合って」
真白「その話、前にした。言ったでしょ、私たちは付き合ってない
…ちょっと飲み物とってくる」
私は万里の声を遮ってソファから立ち上がろうとするが…
万里「逃げんな」
低い声に手を引かれソファに押し倒される
真白「何」
万里「何じゃねえよ、LIMEの履歴消したのお前だろ」
真白「…」
万里「最近、妙に俺のこと避けてるよな」
気づいてたか…
万里「そんな事しても無駄だぞ、ぜってぇ全部思い出してやる」
真白「…」
万里「今の俺とお前が本当はどういう関係なのかは知らねえけど
俺は…お前の事…」
真白「……なよ…」
万里「あ？」
万里は冷たい声で聞き返す
真白「過去の女にそんなに執着すんなよ」
万里「お前…」
真白「たしかに私と万里は付き合ってた、婚約もした…でも
万里は何したかも思い出せないんでしょ」
私はいたって普通に笑って言い返す
真白「結局今付き合ってるのはここちゃんなんだし
こんなに可愛げのない女より甘えてきてくれるあの子の方がいいでしょ」
思ってもない言葉が口からぽろぽろと言葉があふれる
真白「分かったら、この手離して、ここから出てって」
万里｢本当に出てっていいのかよ」
真白「うるさい…」
万里「お前だって俺と…」
真白「私がお前の無駄に整った顔面ぶん殴る前に出てけっつってんの！！」
私は珍しく声を荒らげて万里に怒鳴る
万里「…そうかよ」
万里は不機嫌そうに舌打ちをして、部屋から出て行く
万里がいなくなった部屋は静かで、いつの間にか私の頬には涙が伝っていた
真白「執着してんのはどっちだよ…」
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作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
