花の名前６６ ページ18
真白side
嘘…本当に来るとは思ってなかった…
ちゃんと見てみると、花音や鈴弥もいる
なんで…
魁「マリア」
あ…
そうだ、今はパーティ中だとしても波野の人形じゃなきゃ…
私はまた一点を見つめ直す
万里side
アイツ…一瞬こっち向いたな
波野とか言うやつに声をかけられただけで視線を戻した…
あの野郎……
魁「えー…本日は我々のためにお集まりくださりありがとうございます。」
波野は席から立ち上がり、マイクをもってスピーチを始める
魁「本日を持ちまして…」
真白side
そんなこんなでパーティも終盤に
魁「そろそろ、皆帰る頃だね
僕たちも、本家へ戻ろうか」
真白「…はぃ」
結局…万里は何がしたかったんだろう…
本当に…私を助けに来たの…？
本当に…万里は私の事が好きなの…？
万里にも…私は人形に見えてたの…？
黒服「いくぞ」
黒服がそういって私の右手に繋がれた手錠の鎖を引く
真白「…」
気づけば、万里たちの姿はなかった
やっぱり…万里は
一歩一歩ゆっくりと長い廊下を歩いていると
手錠の鎖を持っていた黒服が何かに気付き、次の瞬間には吹っ飛んでいた
「真白」
聞き慣れている声が後ろから聞こえた
その瞬間、後ろから強く抱き締められた
万里「ごめんな、もう絶対離さねえから」
嗚呼……万里だ…
振り向きたいが振り向けない…波野のいいつけを破ったら…
魁「誰だ貴様…僕のマリアに触るな！
さゆり、部外者は入れるなと命じたはずだが？」
さゆり「部外者ではありません」
魁「チッ使えない…
マリア、振り返ってもいいぞ。見納めだ、ちゃんと見ておきなさい」
真白「……ありがとうございます」
ゆっくりと後ろを振り返る
そこには、やはり自分の恋人である万里がいた
やっぱりこれ以上触れないのは…やだな
私は目に滲んだ涙を悟られまいと抑え込む
花音「七海さん…なんでこんなこと…」
魁「なぜか…だって…？そりゃ…
マリアが完璧すぎるまでに美しいからだよ！」
波野は私の手に着いた鎖を強く引いて、バランスを崩した私を抱きしめ頬を触りながら答える
魁「聖母のように美しい顔も、シルクのように柔らかな髪も
何より聞き分けのよさだ、マリア以上に僕の命令を聞ける人形はいないよ？
やはり幼い頃から躾けておいてよかった…
あぁ、マリアよ…！僕の最高傑作よ！なんて美しいんだ！！」
分かってはいたが、彼は私のことを物としか見ていない
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作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
