花の名前６２ ページ14
しばらく経ち、ノックが聞こえた
魁「チッ…どうした」
「魁様、次の仕事が入っております」
魁「…わかったすぐに行く、お前はマリアを洗って服を仕立て直してくれ」
「かしこまりました」
魁「嗚呼、忘れるところだった…」
その瞬間、部屋にシャッター音が鳴った
……え…
薄く開く瞼でカーテンの奥を覗くと、波野が出ていき
声の主であろう女性の他に何人か女性の使用人が立っていた
使用人達は私にタオルでくるみ、運んでくれる
そのまま浴場に運ばれ、湯が張られたバスタブに入れられ、隅々まで洗ってくれた
その後、花音ぐらいの身長で濃い青の髪の女の人に他の部屋に連れて行かれ
差し出されたピルを飲んで、ベッドに横になっている
「…月…だよね？」
ベッドの横の椅子に座る先程の女性は突然私に問いかける
「覚えてるかな？」
いわれてみれば、その声には聞き覚えがあった
真白「さゆ…？」
この子は私の…初めてできた友達、さゆりだ
さゆり「よかった、忘れてるかと思った…さっきの…大変だったね」
真白「…」
そうだ…私…万里以外の人と…
さゆり「…さっきの話…ちょっと盗み聞きしててさ……彼氏…いるんだね」
真白「うん…」
さゆ「彼氏以外にあんな事…最低だよ…」
さゆはスカートの裾を握り締める
真白「…さゆ、さゆは仕事しなくていいの？お仕置きされるよ？」
さゆり「大丈夫、今の私の仕事は月の遊び相手になることだから」
真白「それならよかった、さゆが一緒なら頼もしい」
さゆり「ありがとね」
真白「そういえばさゆ、なんでアンタもここに戻ってきているの？」
そう、私が鈴弥に助けられたとき、さゆも一緒に逃げたはず…
さゆり「あー…ちょっと私もいろいろあってね」
真白「教えてくれないの？」
さゆり「あんた…自分の可愛さわかってるね。いいよ、教えてあげる、内緒だからね？」
真白「うん」
さゆり「実は…＿＿＿」
真白「…え」
さゆり「だから月にも…＿＿＿」
真白「…わかった」
さゆり「ありがと、約束ね」
さゆは前に小指を差し出す
真白「ぅ…」
小指を絡め『うん』と返そうとしたが、声が上手く出せない
まさか…さっきの薬…？
魁「代理の人形の分際で、僕のマリアに触れるな」
後ろから、冷たい声をかけられた
さゆり「…失礼いたしました。では」
さゆはそのまま部屋を静かに出て行く
魁「マリア、さっき…話していたね？」
私は静かに頷く
魁「少し…躾が必要だね…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たむ | 作成日時：2019年3月23日 16時
