呪いの子、拾いました【五条悟】 (ページ36)

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本体ページ36

「…ひゅっ、ぁ………ごじょ…せんせ……」

腹部を貫通する自分の腕を掴むAの声にはっとする

五条先生

確かに、そう言った

今、僕の前にいるのは

本当の(・・・)Aだ

「な、んで………？」

ゆっくりと腕を引き抜く

「……………ごめん」

恐らく、今のAにはこの数十分の記憶がない

僕は彼にどう説明してもいいか分からず、ただ謝るしかなかった

「……いいよ。だって、先生は悪くないもんね」

Aを刺した僕の腕を、Aは手で優しく包み

笑った

呪力がすっと少なくなり

それと同時に、糸の切れた人形のように地面倒れた

「は、A…？A、Aッ！」

必死に名前を呼ぶと、手を握って返してくれた

「…僕、自分は強いんだって思ってた。
けど………最後(・・)になって漸く気づいた。

僕はほんとに、馬鹿で弱いんだって」

記憶、残ってる？

いや

そんなことは言っている暇はない

「僕は何百年も、千年もあの場所にいた。
村の者に捨てられたのを分かって、ずっと一人で寂しかった。

でも、ある日突然、五条先生に出会って
………それからの時間は、ずっと楽しいものだったよ」

ダメ

ダメだ

Aが、消えちゃう

「長い間待って、やっと手に入れたのに、
僕はそれを強く握りしめてしまったせいで、自分で壊しちゃった。

…………情けないよね」

へらっと笑うAに、胸が苦しくなる

「少しずつ、自分が人間から遠ざかっていったのは気づいていたよ。それで、こうやって呪霊になった。
五条先生みたいに強くなろうとすればするほど、僕は人間ではなくなっていった」

やけに饒舌なAの手を握る

僕には、それしか出来ないから