紫芋のモンブラン 4 ページ22
ジンジンと痛む左手...
爽太郎の手には大きく割れたフロントガラスがざっくりと刺さっていた
思うように動かない...
それよりも今は...
爽太郎は出せる限りの声で叫んだ。
「聞こえる奴は返事しろー！！」
「いっ...いったぁぃ」
真後ろでは歪んだ車体の餌食になるかのように挟まれた櫻井がいた。
爽太郎は動き出そうにも動きだせず唯一使える右手で警察に通報した。
首を伸ばして見渡すと、惨事が大きい様子。
前のトラックにも挟まれ後ろの車にも挟まれで割れた窓越しに見えるのはあおむけになっている大野と松本だ。
意識がいつまでもつかわからない。
爽太郎の頭の中には後ろで相葉君が！と叫ぶ声と外で騒いでる大人たちの声。
爽太郎はゆっくりと意識を飛ばした...
「いったいなぁ...」
大野は飛ばされたもののとっさに受け身をとったため軽い打撲ですんだ。
「松潤。大丈夫か...」
見た感じ頭からしか血が出てないが出血の量が多い。
大野は妹の主治医から聞いた止血の方法で頭に包帯をまき、辺りの様子を見渡した。
「ニノは...？」
大野は慌てて車に駆け寄ると意識を失った爽太郎と歪んだ車体に挟まれて押しつぶされそうになっている櫻井と相葉。
二宮の様子が見当たらない。
「にのーーーーー！どこだぁぁぁぁーーーー！」
のどが出せる限りのありったけの声を出す。
「大丈夫か！？」
「しっかりして！！」
「今、救急車が来るから！」
大野は声がする方に駆け寄るとうつぶせに倒れとてつもない出血をしている二宮。
助からないかも。
その可能性が大きい状況...
.
.
.
.
.
「頼むから生きてくれ...」
大野の悲痛な叫びは周りの騒ぐ声にかき消された...。
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作者名：ブラぺ | 作成日時：2019年6月23日 0時
