紫芋のモンブラン 3 ページ21
「兄ちゃん！
モンブランは？」
「あのなぁ、兄貴は忙しいんだよ」
松本家で繰り広げられる痴話げんか。
潤 6歳 爽太郎 18歳
爽太郎は日本一の学力を誇る帝都大学医学部に通っていた。
そうすればもちろん、勉強に追われる日々だが潤は容赦なくモンブランを作れとしつこいのだ。
翌朝
「兄ちゃん！
またモンブランがはいってた！」
「よかったな。潤」
昨晩、寝静まった潤をしり目に紫芋のモンブランを作った爽太郎。
潤は気づかずおいしそうに頬張る。
そんな幸せな家庭がここにはあった。
潤 15歳 爽太郎 27歳
「なぁ、モンブランは？」
「反抗期真っ最中の弟に誰がつくるもんか」
爽太郎は晴れて外科医となり研修医の時点で天才と呼ばれた。
「あ！和たちとランランランドに行くんだけど車だしてくれねぇ？」
「俺の休みの日だったらな」
弟の願いを優しく聞き入れてくれる兄。
幸せな家庭はまだまだ続いていた。
長期休暇
「いこー！」
「お兄さん、いつもありがとうございます」
「いやーいいんだよ。
たまには悪魔よりも天使をみたいしな」
「だれが悪魔だよ？あ？」
閑静な住宅街には大野たち4人の笑い声と兄弟二人の喧嘩がまじわって聞こえた。
「ま！
今日は平日だし、一番乗りをねらわねーか？」
「いいねー！」
相葉が便乗して楽しく話す。
「よし！じゃあ乗れ！」
「まだつかないのー？」
「急ぎたいんだけどな、後ろの車、煽り運転してるんだよー！
お前たちを傷つけるわけにはいかんだろ？」
「ヒュー！やっさしー！」
「やめろ！冷やかすな...
え？」
「どしたのー？
爽ちゃん？」
「後ろの車が急に...
マズイ！！！！！！！！！」
キキィーーーーーーー！
六人は激しい衝動におされ外に放り出されたり、中に取り残されたり...
朦朧とする爽太郎の頭の中には守り切れなかった五人のことでいっぱいになっていた。
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作者名：ブラぺ | 作成日時：2019年6月23日 0時
