あの日のように笑えたら (ページ8)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:35,307 hit

６話ページ8

隆平side

外来が始まろうとした時、裕にぃからメッセージが送られてきた。「章大の様子が最近変やねん。隆平、病院で章大に会ったら少し見てくれへん？」
章ちゃん…？そういえば最近起きてくるの遅い割には寝不足みたいやったな。裕にぃに「分かった」と返事をし、患者さんの診察を始める｡

午前の患者さんの診察が終わり昼食の時間。あ、章ちゃん誘ってみよ。

小児外来へ行き、近くにおった看護師さんに声をかけ章ちゃんの居場所を聞くと、医局に居ると言うので、医局へ行く。

隆「失礼しまーす。…章ちゃん？一緒にお昼ご飯食べへん？

見慣れた後ろ姿にそう声をかけるけど、返事は返ってこない。

隆「あれ？章ちゃん？おーい。」

目の前で手を振ってようやく僕の存在に気がついたみたいやけど、その表情には活力がない。

章「隆にぃ。お昼ご飯やんな？おん、食べ行こ！」

何かから逃げるように僕の手を引いて、医局から出た章ちゃん。何をそんなに急いどるん？

章「何食べよっかなぁ。いっぱいメニューあって迷ってまう！笑」

隆「せやな^^僕はー…、塩鮭定食かなっ！」

章「また鮭なん？ホンマに好きやねんね笑」

隆「あったり前やで！シャケっっ！」

僕のギャグに大笑いしてくれる章ちゃん。優しいとこは変わってへん。

ご飯を食べ始めて裕にぃが感じてた違和感に気付く。ご飯…やなくて、サラダとスープだけ。

隆「章ちゃん、お腹空いてへんの？どっか具合悪いんか？」

章「今日はそない動いてへんからかなぁ。元気やで！」

隆「そっか。あ、今日裕にぃが夜ご飯作ってくれるんやて、何がええ？」

章「うーん……。何でもええよ？裕にぃが作ってくれるん、何でも美味しいから！」

そうやって笑う章ちゃん。…でも、ほんまは苦しかったんやな。僕と別れて医局へ戻るとき、苦しそうな表情をしてる事に気づけへんかった。