学園アリス 〜君と一緒に〜

story20 失言 ページ22

蜜柑side


委員長の幻覚でおびき寄せたルカぴょんも、北の森攻略メンバーに加えたところで、今は少し休憩中……やのうてからかい中。


「ほーら森の仲間たちが挨拶にきてまちゅよー！」


ヒヨコと戯れるルカぴょんがあんまりにも面白くてウチと蛍でからかうんやけど、彼は真っ赤な顔してウチらから顔を背けたまんま。


「うるさいなぁ！ 先に進むんだろうっ！？」


こうなったら意地でも反応して欲しくて、腕にうさぎを抱えてからかい続けとったら、ルカぴょんがばっと振り返って叫んだ。

その顔と態度があんまりにも最初の態度と違って、思わず笑ってしまう。

動物がめちゃめちゃ好きで恥ずかしがりでからかったら顔真っ赤にして反抗して。ルカぴょんはほんまはこんなに正直者や。


「なんでそんな態度わざととんの？」


だからこそルカぴょんがあんなスカした態度突とったのかが気になった。本当の自分を隠して生きるのって楽しくないし、辛いはずやから。


「もしかして、棗や陽毬がグレてるし、あんたも足並み合わせてるとか？」


でも彼はウチの問いには答えてくれんで。


「わっ、図星！？
なんかそれって、友達ゆうより手下ってカンジ。」


ウチは早く答えが聞きたくて、言ってはいけないことを口に出してしまったんや。


「陽毬と棗を悪く言うな！
……お前らなんかに、欲しくもない力を持ってしまった、2人の気持ちがわかってたまるもんか！！」


ルカぴょんから紡がれた言葉も表情も雰囲気も、全てが怒気をはらんでいて、彼の怒りが全部まっすぐに伝わってくる。


ウチは何も言い返せんで、彼の顔もまっすぐ見れんくて、軽々しくさっきの言葉を口にした自分に後悔した。

冷静になって考えたら、ウチも大好きな親友の悪口を言われたら怒るやんか。教室出るときにウチと蛍のことをよう知らん陽毬が言ってきた言葉にイラついたやんか。



「……そうだ蜜柑。
あんたそろそろ自分のアリスについて何か発見したこととかないの？」


なんてずっと色々考えていると、蛍が急に話題を変えてきた。きっと蛍はウチが後悔しとる子を見てこのどんよりとした空気を変えてくれたんやろう。

その言葉で一気に現実に引き戻された。よう考えたらウチがここにいるのは正式入学のため。もしこの試練をクリアしてもウチがアリスやなかったらこの学園にはいられへんのやった。


「あっ……。」


どうしよう、なんて考えるウチの前に現れたのは怖い顔をした棗と陽毬やった。

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