story13 仮入学 ページ15
陽毬side
僕が使った声フェロモンの効果も時間が経つと薄れてきて、ついさっきまで静寂に包まれていた教室も煩くなってきた。
視界の端では蛍とツインテールが何やら妙な雰囲気を作り出しているし、それを見たパーマが僕らに助けを求めてくるしで、もうワケがわからなくなってくる。
「棗、あとは頼むよ。僕もうめんどくさくて……。」
次第に考えるのも面倒になって、全部棗に丸投げした。
すると彼はしばらく考える素振りを見せて口を開いた。
「……お前、一週間以内にこのクラスに馴染めなかったら正式入学出来ないんだってな」
そう切り出した棗はツインテールに提示した条件は、北の森に行って足跡を残してくること。
確かに北の森へ行けるのはアリスぐらいだ。何せ森の入り口を番人が守っているから。
まぁ、その番人と僕は顔馴染みで、この子が僕に殴りかかってくることはないんだけども。
「やんのか?」
「……やるっ」
どうやら交渉は成功したみたい。
正直、僕がいきなり話を振ったのにもかかわらず、しっかりとした脅し文句まで準備してる棗には驚いた。
それにしても……『正式入学』かぁ。
思い返せばツインテールは学園の門の前でナルと一緒にいた。
と、言うことは少なくとも学園の使者に無理矢理連れてこられたワケではなだろうに何故、こんな学園に自分から足を踏み入れたのだろうか。良いことなんてないのに。
「……ねぇ、ツインテールの君。
北の森になんか行かないで、このまま学園出てった方がいいと思うよ?」
「なんでアンタにそんなこと言われなあかんのや!」
仮入学の今ならまだ引き返せる。わざわざこんな茨の道を通らなくたって良くなる。
そんな思いでした忠告も彼女には伝わらなくて。
「……後悔、しても知らないからね」
「後悔なんかするわけないやろ!」
「っ、おい転入生!
次陽毬さんに生意気な態度とったら今度こそ許さねぇぞ!」
「まぁまぁ、そんな怒んなくていいからさ。
……じゃ、精々頑張りなよ。」
またもや騒ぎになりそうな雰囲気にしてしまった。少女に掴みかかりそうな勢いで立ち上がった取り巻き君たちを宥めて、僕はツインテールと蛍、委員長が教室から出ていくのを見送った。
「陽毬、大丈夫?辛そうな顔してる。」
「流架。僕、無理にでも止めてあげるべきだったかな。ここの悪いとこよく知ってるのは僕なのに……。」
3人が出ていった後もあの子を止めてあげれなかった事を後悔していた。
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えるふぃ(プロフ) - やしろさん» へぇー、結構占ツク徘徊してたんだ!笑 あー、夢小説漁っちゃうのわかる!私の場合、漁ってる途中にむずむずしてなんか話書きたくなるんだけど…笑笑 やしろの期待に添えるような話が書けてるといいなぁ(*´ω`*) (2018年9月14日 0時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
やしろ(プロフ) - えるふぃさん» お久しぶり…!と言っても実は結構な頻度で占ツクにはいるんだ〜!読み専と化してる(笑) けど根っからの夢女子だから新ジャンル行っても必ず夢小説漁ってるからホントここにはお世話になりっぱなしです!学アリ熱は周期的にくるから、よく読んでるよ!! (2018年9月13日 18時) (レス) id: ec62b59ee0 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - やしろさん» わぁ、やしろお久しぶりね!修正版の方読んでくれてて嬉しい!しばらく連絡取れなかったから、もう読んでくれてないと思ってた…笑 自分で書きながら棗や夢主みて悲しくなったりしてるから重症だよね(*´ω`*) また更新するね!見てくれてありがとう(*´ω`*) (2018年9月12日 15時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
やしろ(プロフ) - えるふぃ、お久しぶりです!修正版「君と一緒に」もちょこちょこ読ませて頂いてました!夢主ちゃんや棗の優しさが格段に分かりやすく伝わってきて、もうホント好き!って感じ……!これからどんどん修正版の更新がされてくのを待ってます! (2018年9月11日 20時) (レス) id: ec62b59ee0 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - 波音さん» そう言っていただけると頑張って修正したかいがあります!褒めていただけると一気に疲れが吹き飛びますね笑 最近更新できていなかったのですがまた近々更新してみようと思います!ありがとうございます(*´ω`*) (2018年8月3日 3時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2013年11月22日 7時