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200.紅葉の絨毯と罠 ページ50

それから季節は進み、

 葉が紅になる秋がやってきた。


「赤く染まって照れているみたい。」

「君の頬のようだな。」

「え!?赤いですか?」


 そう言うAは慌てて顔を手で覆った。

 久しぶりの非番のため、今日はAを連れて

 以前二人で桜を見た高台で秋めく街並みを眺めていた。


「耳まで赤いな!」

 顔は覆っていても、チラリと覗く耳までもが熟れていた。

「耳まで染まる君も可愛い。」

「…もう分かりましたから。それ以上は…」

 俺は顔を覆っていた彼女の手を取ると、

「もっと顔を見せて」と微笑みかけた。


「どんな顔も愛おしい。」


 Aは照れる姿を誤魔化すように歩みを進めて

 指をさした。


「ほら、あちらの方の紅葉が綺麗です!

 杏寿郎さん、行きましょう!」


「うむ!」


 開けた場所に出ると、そこは紅葉して落ちた葉が

 絨毯のようにあたり一面に広がっていた。

「わ〜!!すごいですね!」

「本当だな!綺麗だ!」


 Aの手を引いて歩き出し、途中で止まると、

 紅葉の絨毯に寝転んだ。


「ふふっ。」


 Aも同じように寝転んで微笑む。


 空は果てしなく遠く、

 海のように真っ青の中に魚の鱗のような雲が広がっている。


 その視界の額縁には、秋風に揺すられて落ちていく

 赤や黄が色を放っていた。


 空気を深く吸い込んで幸せを噛み締めながら

 ゆっくりと瞳を閉じた。


 すると左瞼に葉が落ちてきた感覚がした。

 しばらくそのままにしていると

 Aがそっと葉を取ってくれた。


 薄く目を開けると、
 
 彼女はあたりをキョロキョロと見回していた。


 これは、もしや。と、思った。

 だからわざと寝たふりをする。


 Aは誰もいないことを確認すると、

 案の定、俺の唇に一度だけキスをした。


 ゆっくりと離れたので、

 俺は目を細く開いて彼女を瞳に映した。


「…前に私に隙があると言いましたが、

 隙があるのは…杏寿郎さんもですよ。」


 俺はAの頬を両手で優しくつまんだ。


「A、残念ながらそれは違うぞ?」

「え?」

「隙ではない。君は俺の罠にかかったのだ。」


 そう言って顔を引き寄せて口づけをした。



 こんな幸せな日々が続いていく。そう信じていた。



 それからすぐだったのだ。

 柱合会議へと向かったのは。




 (読者の皆様へ)

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます♡ いつもコメントくださり、本当励みになります!これからの煉獄さんサイドの展開もお楽しみくださいね! (2023年2月3日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - こんばんは。お疲れ様です☺︎すみません。私が早とちりしてしまいました。続きドキドキしますが楽しみにしてます。完結まで見守っていきますね!新作もその時はぜひ拝読させて頂きますね♪ (2023年1月25日 22時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» 美桜さん、ありがとうございます♡ 私の書き方が悪くてすみませんが、続編はなく完結いたします!次に移行するという意味でした…!ただ、まだ確定ではありませんが、新作を少しずつ考えていますので…いつかお知らせできるといいです💭 (2023年1月24日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 更新お疲れ様です!いよいよ完結ですね。最後まで2人の物語を見守っていきます。続編もあるとのことでそちらも楽しみにしてますね☘ (2023年1月23日 22時) (レス) @page49 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» 美桜さん!コメントありがとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします!更新を待ってくださる方が一人でもいてくださることが本当に幸せです。これからも、ときめく物語をお届けしていきますね! (2023年1月6日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年9月6日 22時

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