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22.見舞い ページ22

夕日の光を浴びて

 木々が燃えるような橙に染まり出した頃、

 伊黒との稽古を終えた俺は、

 昨夜の彼女の見舞いに蝶屋敷へと足を運んでいた。

 

 病室のドアを開けようとした時だった。

 中から胡蝶の声が聞こえた。


 

「大丈夫ですか?

 頭も怪我をしていたようなので、

 無理をしないで休んでください。」



 どうやら意識は戻ったようだ。

 その事実に俺は胸を撫で下ろした。





「胡蝶!入っても良いだろうか!」


「構いませんよ。」




 俺はそっと病室のドアを開けた。



「失礼する。体調はどうだろうか?」



 俺が女性を瞳に映すと、


 彼女は目を見開いて驚いている様子だった。




「れん…ごく…先生?」



「ん…?」



 俺が…先生?


 このような女性に剣を教えていた記憶はないのだが…




「煉獄先生!無事だったのですね!!

 …良かった…!怪我は?」



 それになぜ彼女は俺の名を知っている?


 怪我とはなんだ?





「煉獄さん、お知り合いでしたか?」


 
 俺は知り合いであれば失礼があってはいけないと、


 彼女の顔をまじまじと見つめてもう一度考える。



 しかし、やはり何度考えても思い浮かばない。




「…いや、この前助けたのが初対面だ。

 君は俺を知っているのか?」


 俺の言葉に彼女はひどく混乱しているようだ。



「…えっと、その…」


 他人の空似だろうか。

 それとも以前どこかで助けたことがあったとか…

 考えていても仕方ないな!
 


「頭を打って、記憶が曖昧になっているのやもしれないな!

 俺は君を助けた鬼殺隊、炎柱の煉獄杏寿郎だ!」



 俺が名を告げると、彼女の瞳は揺れた。

 


「あの…助けてくださって、ありがとうございます。」



「うむ!君が無事で良かった!」



「煉獄さん、この方と別に男性は現場にいましたか?」


 胡蝶が俺に問う。


 別の男性…?恋人と一緒だったとかか?


 だがあの時、他に人は…




「いや、彼女だけだった!人気のない道だったな。

 俺もよくあの道を通るが、夜道に女性一人は危険だぞ。

 気をつけるといい!」


 俺がそう言うと彼女は俯いて何やら考えている様子。



 しばらくすると、あたりを見回して口を開いた。



「…はい。あの、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」



「なんだ?」




「今って、何年ですか?」



 彼女の問いに胡蝶が優しく答える。




「今は大正3年です。」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!様々な行動の裏の心情が少しずつ見えてくるかと思います!お楽しみくださいませ(*˙˘˙*) (2022年1月8日 13時) (レス) @page43 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 煉獄さんの、自分の心の動きについていけてない純朴さたっぷりの初々しさよ。今日も素敵!一週間のご褒美戴きました! (2022年1月7日 22時) (レス) @page42 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 読んでいただけて嬉しいです!辛く悲しい気持ちがありつつも、彼女への愛は変わらないのです。彼の心情の変化を追いながら物語を楽しんでいただけたらと思います!いつもありがとうございます( ˊᵕˋ ) (2022年1月1日 16時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 大正時代の煉獄さんの心の動きが、はっきり分かりますね!今後、惚れていく訳ですから、読み返すと、更に煉獄さんの辛さが際立ってしまうのでしょうね。今から泣けそう。 (2021年12月31日 19時) (レス) @page34 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 前回コメントしてから時間無く、今日15話。うっわ〜、苦しい。煉獄さんの心情を慮ると、涙。愛を誓った人に知らない人扱いされる絶望感。怖いでしょうに、それでも前を向いて、進もうとするのですね。 (2021年12月31日 19時) (レス) @page15 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年12月13日 19時

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