太宰(姉)は米花町在住です！【文スト×コナン】

１６話 ページ19

「ふふ……いつって言われても。」

私は距離を少しずつ離しながら笑った。

「資料を見れば君が他の人物に変装することは明らかだ。それに、私なら知り合いが少ないから多少の矛盾もばれにくい。」

ポニーテールを指ですきながら、もう片方の手をポケットに突っ込む。

「写真を撮られたことにはすぐ気づいたよ。昔からそういうのを嫌でも鍛えて来たからね。」

「お前、一体……」

警戒心を強め、こちらを睨み付ける彼に、ポケットから出した"其れ"をつき出した。

ビュンッと空を切る"其れ"――安全ピンの針は、プス……と彼に刺さる。

「いっ！」

しかし、彼に大した変化は無い。彼自身、何も異常は感じないだろう。

実際、毒などは一切塗っていない。

私は彼に生じた隙を見計らって近くの路地裏へと避難する。

ポケットから携帯電話を取りだし、操作した。

「もしもし。……ああ、そうだ。…………そちらの端末に反応があるだろう。…………？！ 驚きだな。分かった。……ああ。」

電話の相手は太宰治。彼は現場にいるだろう。私はもう現場には行かない。

先程の安全ピンには、発信器がついている。特殊に治が加工した安全ピンは素手でないと肌から抜けない。

己の血液と指紋がついた安全ピンをどこかに棄てることは彼はしないだろう。

もう、分かるね？

彼はあの安全ピンを持ち歩くはめになり、治の端末で位置が分かる。彼の犯行を阻止することは容易だろう。

その時、何かが私に迫った。

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