検索窓
今日:4 hit、昨日:10 hit、合計:30,172 hit

ページ4

「ねえ、太宰治さん。あたし、貴方に会いに来たの。」

そう言って彼女は握っていた手を広げる。

パラパラと銃弾らしきものが床に落ちる。

太宰はそれを面白そうに眺める。

「だって、あたしを解放してくれるのは貴方だけだもん。死という代償を持って、



この酸化した世界から。」

彼女は、銃が使えなくて焦っている構成員に歩み寄り、手際よく銃を奪う。

「貴方なら、あたしを殺せるでしょ?」

そして彼女は、その銃を









口に運んだ。

「なっ!」

ポートマフィア下級構成員たちはおどろきの声を上げた。お菓子に変わっているそれを、彼女は黙々と食べる。

猪口齢糖(チョコレート)か、悪くないね!」

唇の猪口のかけらを舐める少女を見て、また太宰は面白そうに笑う。

「ねぇ、どうして貴方たち(ポートマフィア)は、ここを襲ったの?」

少女の疑問に、太宰は嗤う。

「君が一番分かっているよね?


昨日、君はポートマフィアに入って

異能者リストを盗んだのだから。」

場違いな笑みを張り付けっぱなしの少女は、えへへと笑う。

「ありゃ、ばれてた?あたしだって。」

太宰は冷たく笑う。

「当たり前だよ。」

その時、電話が掛かって来た。太宰だ。

『もしもし、太宰くん?終わったかね?』

微かに男の声が少女にも聞こえた。

「いえ、あと一人、12歳の少女が。昨日の侵入者です。」

ふくろうの鳴き声と電話の声だけがひびく。

山の中なだけあり、静かだ。

『ほぅ……なら、良かった。捕虜を一人、連れ帰って貰いたかったからね。』

電話の声が聞こえ、少女の笑顔が引きつった。

「いやだね。あたしを殺してよ。もう、嫌だからさ。」

笑顔を作り直してザッと後退り、太宰を見据えた。

「これ以上生きても、どうせ生きる理由なんて見つからないよ。あたしは、苦しむのは御免だからね。」

窓から飛び降り、逃走を始めた彼女を見て、太宰はニヤリと笑い、電話相手の指示に従った。

・→←1章 お菓子の女王



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:愛子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php   
作成日時:2018年3月22日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。