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3章 バーと写真と ページ13

バー、ルパンに来た時は、太宰が一人座っていた。照明を浴びて、少し目が眩む。

「やぁ、Aちゃん。」

太宰に進められ、隣に腰を降ろす。

「あたし、まだ13」

相変わらず笑顔は絶やさない。

「何でも良いだろう、ジュースでも飲みなよ。」

少女は、メニュー眺め、

「チーズケヱキと、レモンティーお願いしまーす!」

と言う。

「ねぇ、チーズケヱキ、高いけど大丈夫?」

太宰の問いにも笑顔で答えた。

「うん、だって、太宰さんのおごりだもん!」

「はは、言うねぇ。」

また、バーの扉が開く。入ってきたのは、長身の男だ。

「そいつが、噂の“太宰のお気にいり”か?」

なんて言う。

「その、お気にいり?とかはよくわかんないけど、太宰さんの部下の栗夢Aだよ!よろしくね!」

「俺は織田作之助。太宰には織田作と呼ばれている。」

「よろしくね、織田作さん!」

自己紹介を終え、話し始める。

「それはそうとして太宰、一体何をしているんだ?」

織田作は子供なんて連れて、と付け足す。

「思考だよ。哲学的にして形而上の思考さ。それをAちゃんに教えてあげようかと。」

太宰の答えに、新しいことを知れる、と目を輝かすA。

しかし……

「それは何だ?」

「世の中、大概の事は、成功する事よりも、失敗する事の方が簡単だろう?」

チーズケヱキを口に含むと、甘くて、少し酸っぱい、異能力のお菓子とは違う味わい。

「ああ」

「ふん(うん)」

そして爆弾投下。

「ならば私は、自 殺ではなく自 殺未遂を志すべきなのだ!自 殺で成功するのは難しいが、自 殺未遂で失敗するのは比較的簡単だろう?」

危うくフォークを折る所だった。いや、折ってしまった。次の織田作の一言で。

「確かに。」

笑顔を剥がしてマスターに謝罪し、弁償代を太宰に請求する。

太宰は太宰で、マスターに洗剤メニューを要求中だ。

「一体何があったの?太宰さん。」

すると、今度は太宰の自 殺失敗談。

何でも、ポートマフィアの密輸品を横取りしたい連中を潰す囮になったが、パッとしない連中で死にそびれたらしい。

逃げ遅れを拷 問中だとか。

「傷、たくさんだけど、どうしたの?」

脚の怪我から理由を聞く。

「“不意の怪我をしないように”という本を読みながら歩いていたら、排水管に落ちた。」

ありえない。

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作者名:愛子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php   
作成日時:2018年3月22日 9時

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