雪みたいな人 ページ46
このまま流れてくれないかなーと思ってたけど、改札を抜けたらすぐに、
｢はい賢木ちゃんの番ね！｣
って戻ってしまった。
｢難しいですね…｣
｢色々あるでしょうよ！背が高いーとか、イケメンーとか！ほら、白石ちゃんの推しみたいにあのアイドルー！とか。｣
嘘はつきたくないけど、悟られたくもない。
｢悩むねぇー。笑 じゃあ、救済してあげるよ。｣
｢はい？｣
｢じゃあ、強そうと弱そう！どっち！｣
｢…どちらかといえば、弱そう…？｣
｢面白いと優しい！｣
｢えーーーどっちもがいいです。笑｣
｢欲張りですねー。…愛されるより愛したい！笑｣
｢えーーー…どっちも、で。笑｣
｢狡いねー。｣
しゃく、しゃく。もうすぐで家に着く。
｢あ、分かりました。｣
｢んー？｣
｢雪、みたいな人…ですかね。｣
｢ん？｣
ヒュッと真顔でこっちを見る。
｢優しくて、消えちゃいそうな、溶けちゃいそうな。｣
｢白くて綺麗で、みんなが大好きな、｣
ここまで言って、あ、なんか変なこと言っちゃったかも、と、隣を見る。
｢…俺じゃん！笑｣
…はい？
｢…なんてね？笑 優しくて綺麗ねー、うんうん、賢木ちゃんっぽい答えだわ。その答えが、真っ白って感じ。笑｣
あせっ、たー…
｢でもダメよ？そんなざっくりとした答え！笑｣
そうですかねーと言おうとした時、真っ直ぐに、珍しくゆるりと笑ってない、それでも優しい目で。
｢みんな、俺じゃん！って勘違いしちゃうからね。｣
あ、着いた？じゃあ気をつけてねー！いや気をつけんの俺かー！なんて言って、来た道を戻って行った。
いつまで経ってもなかなか家に入ることはできなかった。
先生、勘違いじゃないですよ。
…先生。
勘違いさせてるのは、どっち？
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年10月21日 5時
