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初雪だー!



なんて、廊下から声がした。




「やべ、そうじゃん!賢木ちゃん自転車?」

「今日は電車です。予報で知ってたので。」


先生のお手伝いをして下校の生徒もだんだん見なくなった頃。

しんしんと雪は降り始めた。



「うわー。知ってたんなら断ってよ。帰したのに!」

「すみません。」


すみません、…つい。




「これ終わったら帰ろっかー。俺も帰る。」




そう言って簡単に作業をまとめると、

「靴履き替えたら校門で待ってて!」

と、先生は職員室に向かって行った。



「おーおー、雪だね。」

「雪ですね。」

「どおりで生徒も先生も早く帰るわけだわ。笑 ごめんねぇ。」



そう言って駐輪場を通り過ぎる。




あれ?


「先生、自転車は…。」


「んー。いーのいーの!送りますよー。責任もって!笑」




しゃくしゃく、と、2人分の雪を踏みしめる音を聞きながら、やっぱり残って良かった、なんて考える。




「俺、なんか雪って好きなんだよねー。前世って雪国のなんかだったんじゃないかってくらい無性にわくわくすんの。笑」

「それは…かわいいですね。北国のキツネとか似合いそうです。」

「おおーい!それいじってない?!笑 いじってるよねぇ!」



もう学校の人は見えない、暗い夜道。
放課後、一緒に待ち合わせして帰るありきたりなカップルみたいだな、って心臓が高鳴る。


音のない、なんだか静かな雪の夜。
バクバクって心臓の音が聞こえないように、大袈裟にしゃくしゃくと足を鳴らして歩いた。

影だけは→←断らない



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作者名:あやめ | 作成日時:2023年10月21日 5時

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