恐るべし ページ37
そろそろ行かないと怒られちゃうね。
そう言って微笑んだ阿部先生と一緒に準備室を後にした。
渡り廊下を歩いていながらも、阿部先生の話をぐるぐると考えて、段々とクリアになって、すとんと心の中に落ちてくる。
あれ？
｢阿部先生って、｣
｢ん？あ、行かなきゃ！じゃあねー！｣
…お見通しだ。
多分阿部先生には、私の気持ちは分かってたんだ。分かっててあの話をしたんだ。
恐るべし。
｢あ、A！探したよ。…寒いの？｣
｢あ、うん…寒気して。ちょっと休んでた、ごめんね。｣
｢大丈夫？熱とか、ない？｣
そう言っておでこにピタッと手を充てる蓮。
大きい掌は、おでこからはみ出ちゃってる。
｢うん、大丈夫だよ！ありがとう。｣
｢あ、めめー！Aー！休憩の時間やってー！まわってきぃー！｣
｢おっけー、ありがと康二。行こっか？｣
そう言って柔らかく微笑んで歩き出した蓮の後を追って、隣で歩いた。
｢ねーA、ここ、付いてる。笑｣
そう言ってトントンと、自分の唇の端を指さす。
｢え、ああ、ごめん。笑｣
｢可愛いけどね。笑｣
｢そんなことないでしょ。笑｣
｢Aが意外と、お化けに無表情なのがツボだわ。笑｣
そう言ってゲラゲラ笑う蓮。
｢すみませんね、キャーキャー言う系の可愛い女子じゃなくて！笑｣
｢いや？笑 しっかり俺の腕がっちりホールドしてたけどな。笑｣
まるでカップルかのように色んなクラスをまわる。
｢え、やっぱりお前らってデキてんの？！待って、パニックパニック！｣
やっぱり、そう見えます？
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年10月21日 5時
