きっと上手くいく ページ36
｢俺的にはさ、立場とか年齢なんて、恋には関係ないと思うんだよね。ありきたりっぽいけど。笑｣
｢たしかに今の立場で言えば、未成年とか色々問題は絡んでくるけど。もちろん、双方の同意が無ければ、どちらかが感情的に傷つけるようなことや、押しつけがましい言動はあってはダメだと思うけどね？｣
｢はあ…。｣
｢先生として、生徒を正しい未来へ導く。この場合の正しい、とは、本人たちが将来後悔のしない、望んだ未来って事ね。世間体や倫理観はさておき。｣
｢まあその、大多数が共通認識でもってる世間体や倫理観をズレずに導くことも、また、正しいに含まれるとは思うんだけど。笑｣
はあ、しか出てこない。難しい。
前から思ってたけど、阿部先生は理科の先生なのに日本語がとても達者だ。
｢えっと…でもやっぱり、大人だ、って思い知る場面は沢山あると思うんです。困らせたくないでしょうし、問題なんて起こしてしまったら、迷惑かけちゃう、んじゃないですかね。｣
ニッと綺麗に上がった口角は崩れない。この人、なんだか楽しそう。
｢うん、優しい解答だね。笑 でも恋愛なんて困らせて迷惑かけ合うものでしょう？大前提として、そういう思いやりの上に成り立ってるふたりは、きっと上手くいくと思うけどなぁ。｣
｢そう、なんですかね…きっとそうやって伝えて、確かめ合うまでが怖くて。結局、この関係性で出会ったことが何より、普通の恋愛より難しいことの1番の理由なのかもしれないですね…｣
自分で言ってて訳が分からなくなってきた。
｢そうだよねえ…たしかに、
｢賢木さんも好きな人を思い浮かべた時、この人といると幸せだー、この人といれば幸せになれる、そう思わない？｣
｢…そう、ですねぇ…。｣
｢…ふふっ笑、ありがとう。それが全てだよね。賢木さんも好きな人と上手くいきますように！｣
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年10月21日 5時
