危なっかしい? ページ25
結局ほぼ家まで並走してもらい、後着けて俺んち突き止めたりすんなよーなんて軽く笑って去っていった。
体育祭は、騎馬戦に出ることになった。
しかもなんか上の、重要なやつ。
騎馬戦って男子ならまだしも、高校生にもなって女子にやらせるかな…。
「Aが上ってウケる。笑 ぜーったいなんかやらかすよ。」
運動神経バツグンの菜乃がそうやって馬鹿にしてくる。でも、親友ってほんと、よく分かってるんだよね。
迎えた体育祭当日。
「…これってデジャブ?」
「うん、俺もそんな気がする。笑」
朝から運動場の隅っこでじーっとしてる蓮くんと私。変わった事と言えば、去年は黄色だったハチマキの色が紫になったことくらい。私にとっては大きな、というか1番の重大な変化だけど!
その後、ご丁寧に宮舘先生が登場するくだりまでデジャブだった。笑
騎馬戦の出番が近づいて、招集場所で体勢を整える。近くで見てた岩本先生が
「お前相変わらずなんか危なっかしーね、気をつけろよ。」
なんて、久しぶりに話せたと思ったら、昔から危なっかしいと思われてたことを知った。心当たり無いけどな。
「Aがんばろな!」
そう言ってキラキラスマイルで親指を立てる康二。康二は痩せてて絶対上の人ポジションなのに、蓮くんがどうしても上やりたい!俺絶対取れる自信しかない!って言って聞かなかったらしい。笑
でも余裕で蓮くんを持ち上げてる感じ、見かけによらず力持ちだし、蓮くんも軽そうだもんなぁ、と、どこか他人事で見てた。
スタートの合図で、揉みくちゃになる騎馬戦。
そもそも性格も内気だし、よく考えたら、なんで私が上なんかにいるんだろ?
菜乃の、絶対やらかすよ、をもっとちゃんと受け止めてれば良かった。
岩本先生の危なっかしいも、ちゃんと心得てればよかった。
揉み合いの中で、誰かの肘がぶつかる…!と思った時にはもうぶつかってたし、落ちる…!と思った時にはもう、遅かった。
あーあ、今年は堂々と、応援する予定だったのにな。
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作者名:あやめ | 作成日時:2023年10月21日 5時