高校生だったら ページ11
頑張ろうね、ってペアの子が縄で足を結ぶ。
｢Aちゃん緊張し過ぎだよ…！笑 いっぱい練習したし大丈夫だよ、ね！｣
この子も縄結ぶとき手震えてたのに。なんならちょっとキツくて痛いのに。笑
緊張をほぐそうと励ましてくれて、優しい。
でも結果はビリ。2回も転んでちゃんとビリ。
｢転んじゃってごめんね…でもAちゃんとペア楽しかった！あとで写真撮ろうね！｣
でも最後まで優しすぎて、いい子…！ってあったかい気持ちになれたからいいかな。青春！
｢A、ちゃんとビリだったねー笑 ほら、膝についた砂落としてきなー！｣
そう言って傷をえぐりながらタオルを渡してくれる菜乃の言う通り、水道に向かった。
｢あらお嬢さん、お怪我？｣
｢深澤先生…｣
白い無地のティーシャツに、黒いシャカシャカしたズボン。6組カラーの紫のハチマキを腕に巻いてる姿は学生みたい。
先生が高校生だったら、こんな感じなのかな。
｢転んでたねー。笑｣
…見られてた。恥ずかしい。
｢俺はおっちょこちょいな賢木ちゃんに賭けられてんのかー。笑｣
なんかフクザツなんですけど！って言って笑う、いつもよりちょっと意地悪な先生はなんだか本当に学生みたい。
｢そんなこと言っていいんですか？唯一リレーで先生を信じてる生徒ですよ？｣
なんて、いじってくる先生に小言で言い返したりしながら膝についた砂を洗い落として、タオルで拭いて靴下を履く。
唯一、なんてきっと本当はそんな事ないけどね。
先生は人気者だし。
｢おーおー言うねぇ。笑 賢木ちゃんも次こそ転ばずにちゃんと走んだよー？｣
｢あれ…先生それ、他のクラス応援しちゃってますよ…。｣
｢ふはっ、たしかに。笑 いんだよ、賢木ちゃんは。俺のこと応援してくれるからねー。だからちゃんと応援してもらわねーと！しっかり昼飯食えよー。｣
そう言ってふらふらと校舎に入って行った。
何しに水道にいたかは分からないけど、先生は何もしてなかったから、洗い終わるまで時間つぶしで一緒にいてくれたことに後で気づいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやめ
| 作成日時：2023年10月21日 5時
