デート ページ43
試合終了の合図を告げるブザーがなった瞬間、ごめんね、行こっかって誰よりも早く席を立った深澤さんにつられて立つ。
行きはふたりで時間をズラして入った分、帰りは誰よりも早くふたり一緒に体育館を後にした。
｢楽しかった？｣
｢はい…！やっぱり百聞は一見にしかずでした。来てよかったです！ありがとうございます！｣
｢でしょお？それはよかった。｣
興奮冷めやらぬまま行きと同じ車に乗り込む。
｢綿ちゃんお昼は食べた？｣
｢いえ、まだです。｣
｢俺も。じゃあ軽くどっかで食うかー。｣
スマホをポチポチといじり出した深澤さんは、マネージャーさんに地名を告げて車は発進した。
｢…こんなオシャレなところ、近所にあったんですね。｣
行きとほぼ同じ道を辿って、マネージャーさんにお礼を告げて降ろしてもらったのはcottonからそう離れていない喫茶店みたいなカフェ。
｢ここ穴場なのよ。お昼時なんておじさん達ばっかりだしねー。｣
メニューにはオムライスやハンバーグが並ぶ、ザ洋食。
｢俺はいっつもチーズインハンバーグ！｣
｢じゃあ私は、エビドリアにします。｣
｢はーい、…すみませーん！｣
なんの迷いもなく、私の分の注文もさらっと一緒に言ってくれる。…そういうとこですよ。
｢そういえば綿ちゃんとお酒抜きでご飯食べるの、初めてだねぇ。｣
｢言われてみれば、ですね。こうやって外に出かけること自体初めてですもんね。｣
｢アイドルはなかなかデートできないもんで。笑｣
｢デート……｣
…デート。
｢…なにその反応。笑 まさかお仕事です！なんて言わないよね？笑｣
｢あ、いや、えっと？まあ…｣
｢うわ、深澤さん傷つくわー。チケットまで用意してお誘いしたのに。そんな可愛い格好してきてくれてんだから、デートでしょうよ？笑｣
｢…デートって思っても…、よかったんですか……？｣
そう言うとジトっと見つめられる。
｢えぇ…なにそれ…。可愛いから許しちゃお。｣
何だか甘い空気に耐えられなくなって目線を外すと、お待たせしましたーなんて料理がきた。ナイスタイミング。助かった…。
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年11月18日 5時
