ヒロイン・ファクター【tatsuya.f】 (ページ41)

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迎えにいくよページ41

男の人とお出かけなんでいつぶりだろ。

まるでデートかのように、前日はひとりでファッションショー。気合い入れすぎてもアレだし、でも一応VIP席だから綺麗な格好してた方がいいし…。

結局、黒のニットトップスに、黒いロングスカート。いつもはあまり履かないちょっとお高めのブーツ。普段邪魔だからってひとつに結んでる髪も、無難にゆるく巻いちゃったりして。
鏡に映った自分が浮かれた顔をしていて、思わず苦笑いした。

深澤そろそろ家の前着くよ❗️

なんて通知を見て慌てて小さなピアスと、華奢なブレスレットをつけ、香水をふって家を出た。我ながら、気合いの入り方が露骨だなぁ。

運転免許を持ってない深澤さんが、当日は家まで迎えにいくよってドヤ顔で言ってた時を思い出してちょっと笑みがこぼれた。

マンションの前に出て程なくすると、黒い大きな車が目の前で止まった。
見知った車の助手席の窓が空いて、奥の運転席から見知ったマネージャーさんがペコリと会釈する。

…やっぱり人任せのお迎え。笑

後部座席が開くと深澤さんが座っていた。

｢おはよぉ。おいでー。｣

お昼すぎだけどまだ眠いのか、いつも以上に間延びした声でそう挨拶すると、腕を引かれて車に乗り込んで

｢すみません…よろしくお願いします。｣

と、バックミラー越しに目のあったマネージャーさんに挨拶するとゆっくりと発車した。

深澤さんは、ハートとAのロゴが有名なニットに、スキニーを履いててさすがオシャレ。ゴツめのネックレスに、高そうな腕時計。見るからに高そうな石のついたピアスがふたつ。相変わらずちょっとチャラい。
白くて、男の人にしては華奢なのに、喉仏や顎のラインはしっかりしていて無骨。

そんな風にボーッと、ほぼ見惚れるように横をみていたら、ん？って視線を感じた深澤さんがこちらを向いた。

｢てか、綿ちゃんいつもよりキレイめ？でかわいーね。｣

こんなにも一瞬で、いつもと雰囲気が違う些細なところに気づいたり、さらっと可愛いって褒めたり。
嬉しような、慣れてて嫌なような。
もはや可愛いって褒め言葉すら、全女子に条件反射で言ってるのでは…？

｢…ほんと深澤さんってモテそうですよね……｣
｢ん、急に？笑 …まあ否定はしないけどね。笑｣

なんてご機嫌そうにまた前を向いた。