そんな気がした ページ5
｢お姉さんすんませんねー！静かにするんで！｣
そう言って奥からひょこっと顔を出したのは、関西風の彼。
｢おま…もうその声がうるさいよ。笑 …すいませんね。笑｣
えぇー、そぉ？！なんてケタケタ笑ってる彼も、キャップを被ってカラーサングラスをしている。
2人ともイケメンだ、多分ほんとに芸能人だ。だってキラキラしてる…。
2人の掛け合いが漫才みたいで、思わずふふっと笑うと、
｢あ、今おねーさんも、たしかにうるさいかもって。笑われたよお前。笑｣
｢いえいえ…そういうわけでは。笑 お構いなく。｣
ぺこっと会釈すると、
｢翼くんの言う通り、なんか安心やねぇー！｣
とまた2人の話に戻っていった。
芸能人(仮)の話なんて、もっと盗み聞きはだめだな。聞かれてるんじゃないかって神経も使うだろうし。続きでも読もうと、栞を抜いた。
小1時間が経ったころ、大人数で入ってきた人たちがお店を出て、つきっきりだった翼が私たちの前に戻ってきた。
｢康二くんすいません、なんか大丈夫でした？｣
｢全然！ノープロブレム！｣
｢良かったっす。…席、戻られますか？｣
｢いや別に…ええやんな？ふっかさん。｣
｢ん！ほんと、なんか色々気遣いありがとね。でも俺らぜーんぜん大丈夫だから、普通で。｣
そろそろいい時間だし、帰ろうかな。
なんか、2人きりにしてあげたいし。
｢翼ー、お会計もらってもいい？｣
｢はーい。ただいまー。｣
｢あ、すいません…なんか居づらくさせちゃった、よね？｣
｢え？｣
少し言葉は砕けて、でも少しかしこまってて。チグハグな日本語のせいで、だれに話しかけているのか一瞬分からなかった。
｢あ、ああ！全然です！そろそろいい時間だったので帰ろうかな、と。｣
｢…ならよかったぁ。｣
安堵するまでの少しの
｢はいお釣。ありがとねー、おやすみ。｣
｢うん、また来るー。｣
｢お姉さんまたきぃやー！｣
｢あ、はい…？笑 また！ごゆっくり…！｣
｢おやすみぃ、気をつけてねぇー。｣
語尾が伸びていてふにゃっと笑う彼は、きっと優しい人だろう。なんだかそんな気がした。
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年11月18日 5時
