説明して ページ36
もうここまできたら、流石にペラペラと対抗していた海里も戦意喪失して。
見事ボイスレコーダーの前で誓って、全てのデータが消されて、立ち去った。
…なんだったんだ。なにが起きた…？
｢翼くん、色々ありがとね。…やっと終わったー。よぉし、今日は祝杯だー！今日は翼くんも飲んじゃお？笑｣
そう言って和気あいあいとお酒を作り出す。
待って待って、こっちは全然そんな気分になれない。全然ついていけない。
｢ほら、綿ちゃんも。仲直り記念にさ。｣
｢……深澤さん…｣
｢ん？｣
｢もう私絶対、深澤さん敵にしないって思いました…｣
はあ？と言いたげな顔で
｢ねえ、言うことそれー？！笑 さすがに自分でも執念深さには引いたけどさぁ…？俺けっこー頑張ったよ？綿ちゃんに絶交宣言された悲しみの中でもちょー頑張ったの。笑｣
｢てかもうさ、こんなことどうでもいーからさ。説明してもらいたいことがあって。｣
そう言って、未だに何が起きたのか理解できずにボーッと立ってる私の顔のすぐ前にやってきた。
｢…近く、ないですか…？｣
｢そーお？綿座さん？｣
…完全に忘れてた。
ゆらりと振り返ってカウンターの方を見ると
｢同罪よ？翼くん？俺で遊んだでしょー？笑｣
そう言って、ニヒルに微笑む。
｢俺、勘はいいし、結構慎重なのにさあ！出し抜かれたよねぇ？笑 もうクランクインして綿座さん出てきたときから汗止まんなくて。セリフ飛ぶわで最悪よ？｣
｢それはもう、してやったりです。…やったね翼！｣
｢ねー綿ちゃん辛辣すぎない？え、俺助けたよね？笑｣
まだまだ理解できない脳なりに、今はもう前みたいに普通に話していいんだ…ってことだけ把握できて。
何だか涙が出てきたけど、笑い泣きで誤魔化した。
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年11月18日 5時
