気持ち悪い日々 ページ28
別に、簡単だ。
今ならまだ、忘れられる。…好きな人を守るためなら。
結局バラされることが怖くて。
受け入れることしか、できなかった。
｢Aなら分かってくれると思ったー！｣
なんて、喜んじゃって。馬鹿みたい。
ほんと馬鹿。
こんな選択しかできない私が、馬鹿だ。
結局これは海里と復縁してしまったって事なのかな。
よく分かんないけど、もう深澤さんには迷惑かけられない、とお店には行かなくなって、海里のモノになった。
毎日海里から連絡が来て、cottonへ行こうなんて誘ってくる。どうせ深澤さんへの仕返しに私と付き合った、なんて言ってマウントにならないマウントを取りたいんだろう。
そこで私も海里の味方になるように脅されて。自分のことを認めてる私を見せつけたいんだろう。
…小さい男。
それでも、今をときめくアイドルが、一端の小説家と。それもこれからその作者の主演をやるなんてタイミングで。どこかにリークされたらたまったもんじゃない。そして、彼なら本当にやりかねないから。
｢ここだけの話、俺連ドラの主演初めて決まったんだよね！｣
って嬉しそうに話す深澤さんを思い出す。
｢Aおめでとー！｣
なんて祝杯をあげて自分のことのように喜んでくれた秋葉や翼を思い出す。
うん、間違ってない。
上手く理由をつけて、cottonには行かないようにした。
流石に深澤さんの目を見て、海里が好きなんて嘘をつける自信がなかったから。
彼ならきっと、なにか裏がある、どうにかしよう、と私のために動いてしまいそうだったから。
何より、そんな彼に期待してしまうから。縋りたくなるから。
どうせ海里のことだし、耐えきれなくなってお店では勝手に付き合ってるって言いふらしてるだろうし。
毎晩のように家に来ては抱かれて。
最中にちょっとだけ深澤さんのことを思い出して涙が溢れても、気持ちいーの？とか勘違いして勝手に高ぶって。
早く終わりますように。
行為も、こんな日々も。そう願って。解決策もないくせにいつか終わる夢を見る、気持ち悪い日々が続いた。
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作者名：あやめ
| 作成日時：2023年11月18日 5時
