ヒロイン・ファクター【tatsuya.f】 (ページ26)

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ジョーダンページ26

絶対に失礼だったのに、私の元彼だからか、何ひとつ悪く言わない深澤さんは優しすぎる。

｢ごめんね？嫌な誤解させたかもしれない。笑｣
｢いえ、そんなこと言ったら、その…私の嫌な話を聞かされてしまって、すみません…｣

顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。恥だ。

｢んや、俺も煽るようなこと言っちゃったし。今日のことは全部忘れるからだいじょーぶ。笑｣
｢助かります…｣
｢ま、それか既成事実にして強気に出てもいーしね？笑｣

…？

｢既成事実…？｣
｢や、考えなくて大丈夫。笑ジョーダンジョーダン。笑｣

後から意味がわかった時は、深澤さん曰くボンって音がピッタリなくらい顔赤くなってたよ、と。恥ずかしい。

それから

｢すいません、俺接客してて。昔、俺と会った時も険悪な感じになったし変に口挟めなくて…。｣

と翼が申し訳なさそうに戻ってきても、深澤さんはいーよいーよ、と笑ってた。

翼と3人で別の話にうつっても、ずっと手は繋がれたままだった。

あのプライド高い海里が、このままで終わるわけないな、とは思ってた。

ただ、こっちからコンタクト取るのも違うし。

それにいよいよドラマのクランクインも近づいて仕事も忙しくて。初日に合わせて見学が入ってるから深澤さんにも本当に言わなきゃな、なんて思ってたけどなかなかお店に行けず、ついに再来週にまで迫ってたある日。

外出から帰るとエントランスには、今1番会いたくない彼が、立っていた。