鋭くて、狡い ページ21
そういえば綿ちゃんさ?
言葉の続きを待って、はい?と首を傾げる。
「いつから俺のこと知ってたの?最初からわかった?」
やっぱ隠しきれないオーラがあるからねー、なんて笑ってる。いや、それはたしかにあった事は否定しないけど。
「それは秋葉が、…」
言いかけてやめる。危ない危ない。
すると次は深澤さんが、秋葉ちゃんが?と言いたげに首を傾げた。どうしてこうも同じ動きなのに可愛いのか。
「ふとした時に、グループのお話を聞いて、恥ずかしながらその時に知りました。」
「へー、そうなんだ!俺もまだまだ頑張らなきゃねぇ。笑」
「いや、ほんとに私がそういうの疎いだけなんで…」
だって調べたら、すごい数の会員がいるって書いてあったし。
「そーなの?たしかに知らなそうだけど。」
「本ばっかり読んでるもので…」
「ああ!初めて見た時、端っこで読んでたね。」
「いつもここで本を読んでたんです。」
あれ、過去形?と突っ込まれる。…鋭い。
最近は、深澤さんに会ったらいつも喋ってるから、もう持ってくることがなくなった。
いつ会ってもいいように、もはや会うのを待ってるみたいでそんな風に伝えるのは小っ恥ずかしいけど。
そんなことを察してかどうか、
「へぇ、好きなんだねー。仕事にしようとか、思ったことないの?てか、綿ちゃんの仕事の話も聞かせてよ。」
と、これまた鋭い質問が。そういえば俺、綿ちゃんが何してんのか全然知らないやーなんて呑気に笑ってる。こっちは冷や汗かいてるのに。
「んー…ナイショ。です。笑」
離れて他のお客さんの接客をしてる翼が鼻で笑った。気がする。あいつ…!
「ずるー。笑 まぁ、言いたくなったら教えてよ。綿ちゃんのこともっと知りたいし。」
そんな言い方、ずるいよ。
狡いのはどっち?
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作者名:あやめ | 作成日時:2023年11月18日 5時