ヒロイン・ファクター【tatsuya.f】 (ページ3)

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来客ページ3

しばらく翼と談笑していると、カラン、と来客の知らせが鳴った。

｢いらっしゃいま…あ！ふっかさん！こんばんは！｣
｢久しぶりー、2人なんだけど、いーい？｣
｢もちろん！空いてる席どうぞ！｣

親しげに話す様子は、どうやら常連さんらしい。初めてみた人だなぁ。そんな事をボケっと考えていると、

｢ちょうどAが来てない間に常連さんになってくれたお客様なんだよー｣

って言いながら、ふっかさん、ふっかさん…とぶつぶつ呟きながらボトルを探してる。

｢翼くーん！こっち、康二。で、こちら翼くん。｣

そう言って間を取り持つふっかさん？と呼ばれる人。

｢はじめまして！向井康二です！なんかめっちゃええ雰囲気ですねぇ。俺こういうとこめっちゃ好きです！｣

紹介されてた連れの男性はハキハキと、少し関西っぽいイントネーションで話す。

翼は私そっちのけで2人の前に行ってしまったもんだから、手持ち無沙汰になりボーっとしながら会話に耳を傾けていたけど、よく考えたら盗み聞きは趣味が悪いか。

ここはあまりにも近所で気軽に来れるので、いつもカバンなんて持たない私は、手にハダカで持ってきた本を開いた。

サービスのビールとか、いつもお決まりのおつまみのナッツとか、少し離れたところから聞こえる3人の楽しそうな話し声。
仕事で我慢していた、敬愛する先生の新作を読むには持ってこいの、ゆっくりした時間の流れる心地いい空間だった。