bar cotton ページ2
｢おー、いらっしゃい！｣
近所の小洒落た飲食店が建ち並ぶ路地を1本裏に入って、
｢これまた久々だねー、締切？｣
｢そう、やっと今日終わったー…｣
｢そっかそっか、おつかれ。ビールでいい？｣
｢うん、ありがと。｣
そう言いながら、いつもお決まりの、1番奥の席に腰かける。
最近は仕事に追われていたから多分3週間ぶりくらいに来た。進捗がよければ、週に2〜3回は来ている私にとってはかなり久しぶり。
翼がやってるからっていうのがもちろん1番大きいけど、10人くらいのカウンター席しかない、こぢんまりとした店内は落ち着く。路地裏なのもあってか、お客さんもボチボチだし、治安も悪くないから居心地がいい。
｢あ、そういえばこの前出た新刊ちゃんと買ったよ。サインいいすか！笑｣
翼はいつもこまめに新刊情報をチェックして買ってくれる。
その証拠に、お店の壁沿いに置いてある小さめの本棚には、
サインを書いて返すと、あざーす！と満足そうに受け取る姿は何度見ても嬉しいもんだ。
｢あれ、てかなんかドラマ化？するって言ってなかった？｣
｢ああ…そう。｣
…そうなのよ…。
ただでさえギリギリの生活に、映像化という新しい仕事が…。
｢基本的には映像のプロの人たちがやってくれるみたいなんだけどねー…丸投げって訳にも行かないから。｣
｢ほえー。でもまぁAにとっての初めての映像化でしょ？喜ばしいことじゃん！｣
祝杯だー！なんて言ってちょっと高めのクラフトビールをサービスしてもらった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやめ
| 作成日時：2023年11月18日 5時
