ヒロイン・ファクター【tatsuya.f】 (ページ1)

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仕事ページ1

パソコンに向き合って何時間経っただろう。

時間を確認するため、デスクに置いてある小さな置き時計へ視線を向ける。…18時か。
あれ、そういえば今日は何日の何曜日だったっけ？

そんな事を考えながらも、手は止めない。
…というか、止めることができない。

カチ、カチ、と規則的な針の音と、パチパチパチと軽快なタイピングの音だけが響く無機質な部屋。

仕事部屋はなるべく無駄なものを置かないのが私のこだわり。ただでさえ、脳内はごちゃごちゃと散らかっているからこの部屋だけは、ってせめてもの抵抗。効果があるのかは正直、分からない。

｢…っし！おわっ、たー…！｣

両手をぐーん！と伸ばす。

仕事柄欠かせないブルーライトカットのメガネを外して眉間を抑える。

できた原稿をファイルに変換して、

｢お待たせ、しました、ご確認のほど、お願いします…綿座(わたざ)…っと！｣

送信ボタンをクリックして、本日の業務終了！

いやー…疲れた！ギリッギリセーフ！
ここ数日は締切に追われてぶっ通しでパソコンと睨めっこ。30歳を目前にしたいい大人が2徹。
あー、今日は絶対お酒飲もー。

そんな事を考えていると、メールの受信を知らせる電子音が鳴った。

｢…確認するのはや。｣

それだけ待たせていたのね。少し申し訳なくなる。

問題なく提出できたことを確認して、シャットダウン。さすがに今日はもう、いいでしょう。