薬 ページ31
｢Aちゃんはさー、彼氏とかに甘えたりしたこと、ないの？｣
無言でぱくぱくと食べていた私を見張るかのようにしてたふっかが、不意に予想外の質問を投げてきた。
｢…？｣
｢だからー、彼氏とか！｣
…彼氏。
家族、と言われるよりは数倍マシか、と無意識に胸を撫で下ろした。
｢んー…昔いた事は少しありますけど、甘えてる方では…なかったんじゃないですかね…｣
…嘘。
いつも、可愛げない、もっと甘えて欲しかったってお決まりの理由でフラれる。お決まりってほど元カレがいる訳じゃないけど、決まってそうだった。
…それでも嘘をついたのは、何となく。
何となく、ふっかにはそう思われたくなかったから。
｢だからこんなに甘え下手なのかあ…。｣
…ああ、撤回。
もう思われてた。こんな嘘、意味なかった。
多分これは冤罪じゃない、ふっかのせいでズキッと頭が痛む。馬鹿みたい。
｢まあそこがAちゃんのかわいーとこなんだけどね。教え甲斐あるっていうか？笑｣
…ばかみたい。
｢…教えなくて、いいよ。｣
知りたくないよ。
｢…違うよ。俺が教えたいって言ってるんだから勝手に教わっとけばいーのよ。｣
いいの？
本当に？
もう、取り返しつかなくなっちゃうかもよ？
いつか、チカヅクナと本能的に鳴った警鐘が再びチカチカと頭を揺らす。
｢甘えたいと思ったこともないし、あんまり人を好きになったこともないの。だから多分、私はこういう人で、｣
自分を守ろう。弱くならないために。
意思を持って突き放そうとまくし立てると、途中でギュッと腕を掴まれた。
…なに。思わず言葉が詰まる。
邪魔、しないで。
これ以上はもう…、
何を考えているか分かんない目をしたふっかは、空いているもう片方の手で、私の持っていたお粥の入ったお皿をサイドテーブルに置く。
一瞬だけそっちに流れた視線は、ゆっくりとまた私へ戻ってきて。
｢じゃあ、教えてあげよっか？好きになり方。｣
頭、痛い。
なんだか胸のあたりも、痛い。
…薬。
治す薬、あるのかな。
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あやめ(プロフ) - るなさん» コメントありがとうございます！……見切り発車した秘密のお友達、ご期待に応えられるか分かりませんがこの先も見守って頂ければと思います。笑 (1月20日 4時) (
レス) id: 76de914c7b (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お話大好きです！渡辺くんとの関係を知ったふっかさんのリアクションが気になります笑笑 これからも楽しみにしてます！ (1月19日 20時) (レス) @page42 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - まぷさん» まぷさん、ありがとうございます ; ; 全部…嬉しいです。こうやってコメント下さって私が認識してしまったのでもう勝手とは言わせませんよ( ⩌⤚⩌)笑 これからもどうぞよろしくお願いします…！ (1月10日 19時) (レス) @page18 id: 2dd2e7231f (このIDを非表示/違反報告)
まぷ(プロフ) - あやめさんのお話全部読ませていただいてます！勝手にめちゃくちゃファンです、、♡更新楽しみにしております！ (1月9日 22時) (レス) id: a95612f43b (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - 美紀さん» 前作に引き続き、コメントありがとうございます ; ; 糧になったので新作、始めちゃいました。笑 これからも楽しみにして頂けるよう推敲に励みます！ (1月6日 19時) (レス) id: 5b6428e648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやめ
| 作成日時：2024年1月6日 7時
