答えになってない ページ29
初めは自覚こそなかったものの、ちゃんとあれから上がるタイプの熱で。
雅ちゃんが家に届けに来てくれた物もまともに食べれず、数日熱に浮かされていた。
ひとり暮らしの熱はしんどい、心細い、なんてよく聞くけど気持ちは分からない。みんなと心細い経験値が違うからかな。こんなのには慣れっこだからかな。人って基本ひとりじゃん、なんて可愛げもなく思ってしまう。
…こんな事考えてる時点で本当は寂しい人なのかも。
そろそろ何か食べないと。元気になるものもならないよね、なんてセンチメンタルな気分を払って体を起こした時、インターフォンが鳴った。
…お馴染みの、オートロックじゃない方。
｢…はい。｣
｢あ、俺。開けてーAちゃん。｣
"俺" じゃないよ。何で知ってて来たの。
｢ごめん、まだ風邪で、｣
｢だから来たの！開けてー。｣
｢伝染ったら不味いから…｣
｢大丈夫！伝染んない！マスクしてるし近づかない！｣
インターフォンのカメラ越しに身振り手振りで説得している姿はなんだか滑稽で可哀想で、仕方なく折れた。
｢んもー、Aちゃん頑固なんだから。お邪魔しまーす！｣
ドアを開ければてくてくと何の遠慮もなく家に上がる。
頑固って、どっちが…。
｢あれ、全然後輩ちゃんの差し入れ減ってないじゃん。Aちゃん食べてる？もしかしてまだ結構キツい？｣
｢あー…全然大したことないです。｣
ずっとひとりだったから。
誰にも頼らず、生きてきたから。
大したことない。
するとふっかは、心配そうにしていた目の色を、怒ったような色に変えた。
｢答えになってないでしょ？｣
と、リビングのドアの前で突っ立っている私に足を進める。目の前まで来たふっかは、ちょっとごめんね、とおでこにピタッと手のひらを当てた。
｢…伝染るから…近づかないって、言った…、｣
｢Aちゃんが悪い。辛いか辛くないか聞いたんだから。大丈夫かどうかなんて、聞いてないでしょ。｣
ペットボトル1本分の距離で、まっすぐに見つめられる。
そっか。
こうやって人は、ひとりが心細くなっていくんだ。
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あやめ(プロフ) - るなさん» コメントありがとうございます！……見切り発車した秘密のお友達、ご期待に応えられるか分かりませんがこの先も見守って頂ければと思います。笑 (1月20日 4時) (
レス) id: 76de914c7b (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お話大好きです！渡辺くんとの関係を知ったふっかさんのリアクションが気になります笑笑 これからも楽しみにしてます！ (1月19日 20時) (レス) @page42 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - まぷさん» まぷさん、ありがとうございます ; ; 全部…嬉しいです。こうやってコメント下さって私が認識してしまったのでもう勝手とは言わせませんよ( ⩌⤚⩌)笑 これからもどうぞよろしくお願いします…！ (1月10日 19時) (レス) @page18 id: 2dd2e7231f (このIDを非表示/違反報告)
まぷ(プロフ) - あやめさんのお話全部読ませていただいてます！勝手にめちゃくちゃファンです、、♡更新楽しみにしております！ (1月9日 22時) (レス) id: a95612f43b (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - 美紀さん» 前作に引き続き、コメントありがとうございます ; ; 糧になったので新作、始めちゃいました。笑 これからも楽しみにして頂けるよう推敲に励みます！ (1月6日 19時) (レス) id: 5b6428e648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやめ
| 作成日時：2024年1月6日 7時
