だいじょーぶ ページ17
助けに入ってくれた声とともに手が離れると、名前も思い出せない男の人が、先生またっ…！と走っていった。
…また、って勘弁してよ。どうにかしないとなあ。
角を曲がって姿が見えなくなるまでその背中をぼーっと見送ってから、ハッと振り返ってもそこはもぬけの殻だった。
多分、ふっかの声…だった、よね。
服の袖をめくって、握られていた部分を確かめるとしっかりくい込んだ、赤い爪痕。
今になってジンジンと痛み出す。
あの人、楽しそうに、嬉しそうにって言ってた。
そんな事初めて言われた。
ずっと、楽しいとか嬉しいって思ってたことなかったから。
という事は私は今、楽しくて嬉しい？どうして？
｢…遅いよ。心配すんじゃない。｣
エントランスを抜けて、エレベーターホール。
腕を見ながら下を向いて歩いていると、ちょっと不機嫌そうな、聞き覚えのある声が響いた。
…聞き覚えというか、もはやさっき聞いたばかりの声。
｢……ふっか。｣
｢大丈夫？｣
私の持っていたバックやコンビニの袋たちを、するりと白い手が抜き取る。さっきも見たやけに色白な手。
首を傾げて、覗き込んで合わせにきた目は、本当に心配のいろ一色で。
腕がさらにジンジンと、血が巡る感覚。
ふっかの顔見たらなんか、…
…なんか、急に安心して。
そんな時、ポーン、とエレベーターの到着を知らせる電子音が鳴った。
その音にハッと我に返ってスタスタと乗り込む。
…大丈夫、大丈夫。
ふっかもそんな私に続いて乗り込むと、荷物を持ってくれている手と逆の手で【閉】を押した。
…私は、大丈夫。
自分に言い聞かせながら、ボタンを押したふっかの綺麗な手をなんとなく目で追っていると、私がさっき掴まれた腕とは逆の腕を、
さっきとは比にならないくらい、優しく掴んで。
腕を引かれた、と思えば
視界は真っ暗になって、鼻にはあの香水がいつもより強く香って。
ああ、真っ暗なのは、ふっかの胸に密着してるからか、なんて理解するのに少し時間がかかって。
抱きしめられるみたいにして後ろにまわった片手は、後頭部をぽんぽん、と撫でた。
｢…怖かったねぇ、よしよし。だいじょぶ、だいじょーぶ。｣
"怖かった" …？
だいじょーぶ。
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あやめ(プロフ) - るなさん» コメントありがとうございます！……見切り発車した秘密のお友達、ご期待に応えられるか分かりませんがこの先も見守って頂ければと思います。笑 (1月20日 4時) (
レス) id: 76de914c7b (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お話大好きです！渡辺くんとの関係を知ったふっかさんのリアクションが気になります笑笑 これからも楽しみにしてます！ (1月19日 20時) (レス) @page42 id: 35fcb02ad2 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - まぷさん» まぷさん、ありがとうございます ; ; 全部…嬉しいです。こうやってコメント下さって私が認識してしまったのでもう勝手とは言わせませんよ( ⩌⤚⩌)笑 これからもどうぞよろしくお願いします…！ (1月10日 19時) (レス) @page18 id: 2dd2e7231f (このIDを非表示/違反報告)
まぷ(プロフ) - あやめさんのお話全部読ませていただいてます！勝手にめちゃくちゃファンです、、♡更新楽しみにしております！ (1月9日 22時) (レス) id: a95612f43b (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - 美紀さん» 前作に引き続き、コメントありがとうございます ; ; 糧になったので新作、始めちゃいました。笑 これからも楽しみにして頂けるよう推敲に励みます！ (1月6日 19時) (レス) id: 5b6428e648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやめ
| 作成日時：2024年1月6日 7時
