第七話…薫風卯月 ページ10
お昼も食べ終わり、午後の授業も終わった。
千音は帰る準備をして、教室を出た。
下駄箱まで、行くと時雨が千音を待っていたかのように、立っていた。
千音は靴を履き、時雨の横を素通りした。
後ろから、慌ててる様な声と、走ってくる音が聞こえた。
「あ、待って!」
千音はスタスタと歩き、気付かない振りをしていた。
そして、肩にトンっと、手を置かれた。
その時に、ゆっくりと後ろを振り返った。
「はぁはぁ……一緒に帰らない?途中まで、一緒みたいだし!」
走って来たからか、時雨の息は荒かった。
千音はコクリと、頷いた。
それを見た、時雨は千音の隣を歩いた。
帰り道、二人は何も喋らなかったが、時雨が耐えられなかったのか、何か話題を千音に振るが、千音は短く返事をするだけだった。
そして、何か思い付いたのか、時雨は“あ!”と大きな声で言った。
「そう言えば、僕らちゃんと自己紹介して無いよね?」
「ああ。それがどうした?」
「ちゃんとしよ!自己紹介!」
「言い出しっぺのお主から言ってくれ」
千音がそう言うと、時雨は名前と好きな食べ物、得意な教科、不得意な教科を言った。
「じゃあ、私の番だな。_______御子紫千音。ラーメン。得意不得意はない」
「え?!不得意な教科ないの?!いいなー!あ、僕のことは時雨さんなんて、他人行儀じゃなくてさ、もっと呼びやすく呼んでいいよー!」
「…分かった。じゃあ、しーって呼ぶ。わしのこともええで。なんて呼んでも」
千音は星と一気に深まった関係になった気がした。
何故ならば、方言で話したからだった。
ぶつかった曲がり角…そこで二人は別れた。
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