第一話…薫風卯月 ページ4
東の空に陽が昇り始める。窓の隙間から、太陽の光が差し込み、御子紫千音は目を覚ます。
欠伸をひとつして、ベッドから降りる。
「んー…」
瞳を閉じて、伸びをする。
千音は窓のカーテンを開けて、部屋の中に光が入るようにした。
いつも通り、ワイシャツに腕を通してその上に黒のベストを着て、黒のズボンを履く。
伊達メガネとグレーの上着とベレー帽を持って、一階に向かう。
千音の親は千音が小さい頃に死亡し、千音はこの一軒家に一人暮らしだった。
はじめの頃は、親戚が一緒に居たが、もう十八の千音には要らないだろうという、話になり、親戚も居なくなった。
「……おはよう。父さん、母さん」
千音は父と母の遺影を見ながら、言う。
その瞳はとても悲しそうだった。
軽い朝食を食べ、学校に向かった。
通学路、角に差し掛かったところ、誰かとぶつかった。
トンっと、千音は二、三歩後ろに下がってしまった。
顔を上げると、慌てたような顔をした、青年が居た。
「すみません!怪我とかしてないですか?」
「……いや、ない。それよりそっちは?」
「僕も大丈夫です!ほんと、すみません!じゃあ、僕、もう行きますね!」
その青年は、何回か謝ると走って行ってしまった。
千音は埃を払い、また歩き出した。
千音はまだ知らなかった。______________このぶつかった青年が、自分の運命の相手だとは。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ