誰か助けて ページ19
「大昇と藤井ちゃんと作間以外は美少年の楽屋行って、！」
とりあえず、思い当たるのはこの3人以外だった。藤井ちゃんは多分クリア。作間と大昇は共演者に似てるところはあるけど、Aを助けられるのは2人しかいない。
『来ないで！！来るなっ…！！！』
直｢A、｣
作｢Aちゃん、大丈夫だよ、｣
｢作間ゆっくり｣
前にも一度、似たようなことがあった。その時は作間がずっとAのそばにいたから、きっと役と重ねることはないはずだ。
大｢A…怯えてる｣
｢ほんとだ、｣
作間が近づくと、じりじりと後ろに下がっていく。Aが床に落ちていたペットボトルを拾ったところで、作間は歩みを止めた。
作｢ダメだ。多分みずっこん一気に行った方がいい｣
｢っ、わかった｣
俺たちの方に振り向いた作間は首を振り、悲しそうな顔をした。
これ以上作間が近づけば、Aは手にしたペットボトルを作間に向かって投げつけるだろう。強行突破するしかない。
｢藤井くん先行ってくれる？Aが戻ってきたところを俺が行く｣
直｢わかった｣
絶対に重ねることの無い藤井くんなら、役じゃなくてAの意識が戻ってくるはず。
藤井くんがAに近づけば、じっと目を見つめペットボトルから手を離した。今だ。
｢A、戻っておいで｣
『…！やめ、近づかないで、！』
俺は中井誠じゃない。どうか、井上瑞稀だとわかってくれ。
｢大昇！Aが好きな歌！なんでもいいから歌って！｣
暴れるのを承知で俺はAを腕の中に閉じ込めた。ペットボトルを投げつけられても、どんなに腕を引っかかれても。藤井ちゃんを見てもらえば、大昇の歌声を聞いてもらえばAは戻ってくる。
『たすけて……、みず、くん…』
作｢…！｣
直｢A…｣
大｢帰ってきた、｣
｢もう大丈夫だよ。ごめんなそばにいなくて｣
作間は隣の楽屋に移動したみんなを呼んでくれた。はしもっちゃんも龍我も服を着てくれている。ガリさんなんかちょっと泣いてるし。
藤井ちゃんと大昇が机や椅子、床に散らばったお菓子を片付けてくれている。
俺がずっと抱きしめていれば、疲れたのか眠りについたA。そのまま、作間の方を向く。
「…何があったの？」
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作者名：夜炎那 | 作成日時：2023年8月6日 16時
