精神崩壊 ページ18
少し昔の話。とは言っても、2020年の頃。
Aは瑞稀くんと一緒に撮影していたドラマの役に乗っ取られ、精神的に不安定になった時期がある。
俺がもっとそばにいてあげれば、なんて今思っても遅いんだけど、これからもずっと思うだろう。
『大昇？どうしたの険しい顔して』
｢ん？いや、ちょっと昔のこと思い出してた｣
誰も口外しなかった。ファンの子も知らない俺らだけの話。
瑞｢ねぇ大昇、A最近落ち着いてる？｣
｢うん、大丈夫だよ。俺らの中で誰かしらはそばにいてあげてるから｣
瑞｢そっか、よかった。またなんかあったらすぐ言ってね｣
瑞稀くんが、Aを救ってくれた出来事。
大「みずっこん、ごっつぁんです！」
「ウザお前笑」
『いやだ、！やめろっ！来るな！！！』
大｢えっ、Aの声？｣
裸の少年の収録合間、飲み物を買おうと俺と大昇で自販機に向かったその帰り。
廊下に響き渡るAの大きな悲鳴と叫び。俺たちは顔を見合せ、何事かと走って楽屋まで向かった。
｢俺らの楽屋やん、｣
声と物音がするのは、俺たちHiHi Jetsの楽屋から。俺は急いで、扉が外れる程の勢いで開けた。
｢……！｣
目に入ってきた光景。あまりの驚きに声すら出なかった。出せなかった。隣にいた大昇も息を飲んだだけだった。
『くるなっ、！！離せ！！！』
楽屋が、めちゃくちゃだ。
並べられた椅子と机はあちらこちらにひっくり返っていて、床にはお菓子や誰かの荷物の中身が散らばっている。
『誰か助けてぇぇ…！！！』
そこには、俺らのようにただ立ち尽くすしかできないHi美のメンバーと、泣き叫びながらはしもっちゃんの腕の中で暴れるAがいた。
優「…！瑞稀くん来た！はしもっさん一旦離れて！！｣
俺を見た作間がAの周りにある危ない物を全て遠ざけ、引っかかれたのか腕が赤くなっているはしもっちゃんをAから離れさせた。
作「今2人が撮ってるドラマ、共演者の容姿に似てる人は？多分Aちゃん役に乗っ取られちゃった、」
「…！！」
そういう事か、
「タンクトップ着てる2人はダメ。はしもっちゃんと龍我今すぐなんか服着て！あとは…」
龍「A…！」
涼「龍我、一旦俺らAの視界から消えた方がいい。美少年の楽屋行こ」
龍「はい、」
なにがAを怯えさせてる…？身長は？体格が似てるやつ、肌の色、髪色…
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作者名：夜炎那 | 作成日時：2023年8月6日 16時
