このマンネ危険につき 。

＃２０ ページ20

【 ＪＫ 】







声を絞り出して

自分自身のことを話す A



僕が思っていた以上に

この子は 大変な道を歩いてきたみたい



もし自分がAの立場だったら … って

考えただけでも 、胸が苦しくなる







『 私は … 家族を知りません

お母さんも 、お父さんも

きょうだい がいるのかも

自分が産まれた日も 、どこで産まれたのかも 』







物心ついた時にはもう

施設で育っていたという A



施設の前に捨てられていたのを

園長さんが見つけたんだって







『 その施設には

いろんな事情を抱えた人がいました

だけど … 打ち解けられませんでした

怖かったんです 。誰かと関わりを持つことが 』







心を閉ざし

関係を持つことをを拒んだ A



だから今でも

話すことが苦手らしい



息がつまる様な話し方は

きっと この過去が原因なんだろう



Aは続けて話す







『 中学を卒業してからは

高校に行かず 、アルバイトをしました 』




RM「 でも それならどうして

うちの事務所に入ることになったんだ … ？ 」




『 社長が声をかけてくださったんです

ホンデで … 私が踊っている時に 』




JH「 踊りは ？

どうやって覚えたの ？

初めてAに出会った時

初心者のダンスには見えなかった 」




『 見て覚えました

周りの人を見て 、マネしたんです 』




「 うそでしょ … それだけで ？ 」







あの精度の高い踊りを

見ただけで覚えたって … ？







『 ずっと … 変わりたかった

弱い自分を 変えたかったんです

だからこそ 、憧れだった

大勢の人の前で輝く アイドルが 』







Aは … すごい







自分の意志がちゃんとある

芯の強い子だ



儚く微笑むその姿に

胸が締め付けられる反面

湧き上がる 想い







“ この子を守りたい ”







.







.







“ ギュ … ッ ”







.







気付いたら

僕は Aを 抱きしめていた







『 あ 、あの … 』




「 弱くなんかない

Aは弱くなんかないよ 」







急に触れられたからなのか

また震えだす A



でもここで

この手を離したら ダメだ







「 家族 … いるから

僕らが家族だから

Aの居場所は 、ここだから 」







抱きしめる力を強める



するとAは

少しずつ震えを止め







.







“ … ギュッ ”







.







僕の服を

遠慮がちに掴んだ







*

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